2024年11月25日( 月 )

2016年中国経済の行方

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 2015年中国経済が厳しい状況であったことは疑いない。これまで前例のないほどの株の乱高下により、株主たちの信頼を失ってしまった。経済下降のプレッシャーはますます大きく、GDP成長率が7%を割り込む確率が高い。
 一方で伝統工業は早急のレベルアップを迫られ、中低レベルの工業は過剰生産、高レベルの産業は需要を満たせない状況だ。また商品の在庫も多く、不動産投資も大幅に減少している。他方、世界経済の回復も進まず、国内の競争力も弱まって、外国向け貿易が低迷している。

china では2016年の中国経済はどのようになるのか。中国政府はどのような措置により経済の発展を図るのか。
 清華大学の中国・世界経済研究センターの李稲葵主任は、16年の中国の経済政策は依然として成長を保つと考えている。上半期中国政府は、地方政府と地方官僚の積極性を引出し、すでに確定・批准した建設プロジェクトをできるだけ早く実行し、市場を始動させる政策を出す予定だ。そのため中国経済は第一四半期前全面的にプロジェクトを始動し、下半期には良い業績が出ると考えている。16年の経済は「前半は低く、後半は高い」という状況が出現する。相対的な経済成長率は6.8%前後を維持するという。
 華泰証券、主席エコノミストの兪平康氏によると、経済の下降と不動産市場の低迷、在庫と生産過剰が16年の中国経済を圧迫し続けるという。中国政府は大規模な景気刺激策を打ち出し、さらに16年は「第13次5カ年計画」開始の年でもあり、改革の措置が制定されるにちがいない。それには税財政制度の改革と国有企業の改革が含まれ、民営資本と市場の競争を拡大し、同時に医療や教育、タクシーなどに対する改革の実行を継続、推進して、これらの社会問題を解決して市場を活発にする計画だ。

 中国人民大学国家発展研究院の劉元春院長によると、中国は現在東南アジア国家と「一帯一路(陸海上シルクロード経済圏)の建設と国際的生産能力の合作を進めており、アジアインフラ投資銀行とシルクロード基金などにより、中国のインフラ建設産業の輸出のために融資を提供する。今後5年で中国の輸出は10兆ドルに達すると予想される。16年は第13次5カ年計画の開始の年であり、「美しい中国」が期待される年になるという。第13次5カ年計画ではエコロジーが5大発展理念に入り、「最も厳格な環境保護制度」と「美しい中国」の概念が初めて提案される。生態環境保護は一つの産業として中国経済のスタートライン上にある。また劉院長は16年に中高速の成長を保持する能力を持つと考えている。

 中国国務院の李克強総理による「中国経済の青写真」と題する文章が、イギリスの『エコノミスト』誌年刊の『世界の2016年』に掲載された。そこには主に16年中国経済の発展の行方が書かれている。
 李克強総理は市場の拡大が中国の経済成長を持続させる力の一つと考えている。また李総理は中国の消費の潜在力を評価している。中国には13億の人口があり、中間層は3億人に達する。しかし都市化率は50%を超えたばかりで、先進国と比べるとはるかに及ばないが、これらが中国経済の成長に広い空間を提供すると考えている。さらに李総理の文章の中で、「速度が遅くなっても、中国経済は我々が期待する方向に向いており、さらに多くの内需と創新に向かって発展するだろう」と指摘している。

 中国の消費の潜在力は大きく、中間層は3億人もいる。しかしこの消費の潜在力は国内に向けられず、多くの人は海外で消費しサービスを受けている。このため中国は現在経済の発展に「需給矛盾」問題が存在している。生活水準のレベルアップに伴い、中間層は消費とサービスの多様化を要求する。たとえば製品のレベルアップ、ブランド化、個性化が求められる。また養老や医療、保険などの公共サービスではより人間性が求められる。もし中国の製品やサービスが中間層の需給を満足させられなかったら、それは海外での消費が避けられない。この問題をいかに解決するか。李総理は、伝統産業の競争力のアップ、「メイドインチャイナ」のレベルアップという処方を提案した。

 16年の中国経済を発展すると、どれくらいのGDP成長率を保持できるのか。
 国信中心、招商証券、中金公司は成長率を6.5%以上、6.7%、6.8%と予測する。またこれら3大機構は16年の輸出・輸入は低迷の成長と予測する。来年の中国の内需は引き続き緩慢で、多くの商品価格は比較的安定しており、大幅な下降はなく、16年の輸入規模は今年とほとんど変わらないとみる。
 しかし国際的に著名な金融機関は16年の中国経済を低く予測している。みずほ銀行は16年成長率を15年の6.9%から6.2%に、17年は5.8%にまで低下すると予測している。ゴールドマンサックスは2016年の成長率は6.3%とし、1989年以来の低成長と予測している。


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