昨年末、九州大学前病院長の経費不正支出問題と辞任が報じられたが、29日、九州大学は同大学病院の新たな病院長を選出したことを発表した。
今後の信頼回復に向けた取り組みに期待するが、医療機関という公共性に対する信頼を揺るがせた事例は、九大病院だけではなかった。
東京大学大学院に設置された共同研究講座をめぐり、便宜を図る見返りに業者から接待を受けたなどとして、警視庁捜査2課は24日、収賄の疑いで東京大学大学院医学系研究科教授・佐藤伸一容疑者を逮捕した。
逮捕容疑の中身には驚かされた。佐藤容疑者は2023年3月から24年8月ごろにかけて、東大大学院内の「臨床カンナビノイド学講座」の設置手続きや、研究内容の選定などの便宜を図る見返りとして、共同研究先である(一社)「日本化粧品協会」の代表理事の男から、数十回にわたり、東京・吉原の風俗店や高級クラブで約180万円相当の接待を受けたというものだ。
国公立大学の教職員は「みなし公務員」とされており、刑法上の収賄罪の適用対象となる。
佐藤容疑者の講座は、民間企業や団体が資金を拠出し、大学と共同で研究を進めるかたちで開設される仕組みだ。研究と企業・団体が結びつくのは今や常識で、研究資金不足に悩む大学側にとっては、ありがたいものであるが、今回はその仕組みが悪用され、接待の場へと繋がってしまった。
昨年11月には、東京大学医学部附属病院に所属していた准教授が、医療機器の選定をめぐり、特定のメーカーから金銭提供を受けた容疑で逮捕されたばかりだ。学内におけるコンプライアンス遵守の意識が、極めて乏しかったと言わざるを得ない。
今回の事態を受けて東大側は記者会見を開き、藤井輝夫総長と相原博昭理事・副学長が出席して謝罪と再発防止を表明した。九大といい東大といい権威ある大学である。その公的な職務に携わっているという倫理観を育てないことには同様のことが起こりかねない。
【近藤将勝】








