人口流入都市の逆説 福岡で求人倍率低下

福岡県内、求人・求職ともに鈍化

 1月30日に福岡労働局が公表した2025年12月分の雇用情勢によると、県内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は1.07倍となり、前月と同水準だった。求人・求職ともに動きは鈍く、有効求人数は前月比1.4%減、有効求職者数も同1.2%減少した。新規求人倍率は2.02倍と前月をわずかに上回ったものの、原数値でみた新規求人数は前年同月比1.5%減と低調が続いている。産業別では製造業が堅調に推移する一方、宿泊業・飲食サービス業、情報通信業、建設業、医療・福祉などで減少が続き、雇用回復の広がりは限定的だ。正社員の有効求人倍率も0.90倍と前年同月を下回り、雇用の量だけでなく質の面でも弱さが残る状況となっている。

九州平均との差、回復力は中位水準

 九州・沖縄地域全体と比べると、福岡の雇用情勢はやや弱含みの位置づけにある。12月の九州・沖縄地域の有効求人倍率は1.08倍で、福岡はこれをわずかに下回った。新規求人数は九州全体で前年同月比3.3%減となっており、福岡の減少幅(1.5%減)は相対的に小さい。一方で、新規求職者数は九州全体では6.1%増と大きく伸びているのに対し、福岡は3.0%増にとどまった。求人・求職の両面でみると、福岡は九州のなかで急激な悪化は避けているものの、力強い回復局面に入ったとも言い難い中間的な状況にある。

全国水準を下回る求人倍率

 全国との比較では、福岡の弱さがより明確になる。全国の有効求人倍率は12月時点で1.18倍前後で推移しており、福岡の1.07倍は全国平均を明確に下回る水準だ。全国的にも求人倍率は低下傾向にあるが、製造業や物流関連を中心に一定の底堅さが残る地域もあるのに対し、福岡ではサービス業や観光関連を中心とした求人減少が長期化している点が特徴的だ。人口流入が続く都市圏であることもあり、求職者数が相対的に多い構造が、求人倍率を押し下げている側面もある。

慎重姿勢強まる企業、ミスマッチ拡大懸念

 今回の統計は、福岡県の雇用情勢が「悪化局面に入った」と断じるほどではないものの、物価上昇や企業収益の不透明感を背景に、企業の採用姿勢が慎重化している現状を映し出している。自己都合離職者を中心に求職者が増える一方で、正社員求人の伸びは鈍く、労働市場のミスマッチが拡大する懸念も残る。福岡労働局は、雇用の持ち直しの動きが弱まっているとして、今後の経済動向や物価の影響を注視する必要があるとしている。

【寺村朋輝】

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