九州大学とUR都市機構九州支社は3月26日、九州大学(九大)・箱崎キャンパス跡地の再開発事業者として、住友商事(株)(東京都千代田区)を代表とし、九州旅客鉄道(株)(JR九州)や西日本鉄道(株)(西鉄)、西部瓦斯(株)(西部ガス)らで構成される企業グループに正式決定したと発表した。同グループにはほかに、清水建設(株)、大和ハウス工業(株)、東急不動産(株)、(株)西日本新聞社が名を連ねる。
同跡地再開発をめぐっては、24年4月に同グループが優先交渉権者に選ばれていた。その後、「九州大学箱崎キャンパス跡地地区における事業基本計画書に係る審議委員会」が適宜開催されるなどして、新たなまちづくりに向けた計画案のさらなるブラッシュアップが図られていたが、今回、同グループが事業者に正式に決定したことで、いよいよ新たなまちづくりが本格的に進んでいくことになる。
住商グループらは、まちづくりコンセプトとして「HAKOZAKI Green Innovation Campus」を提示。100年に及ぶこの地での九大の歴史を継承しながら、高質なみどりに包まれた都市空間を形成し、新産業の創造と発信を担う拠点を目指す方針を示している。また、福岡市が掲げる「FUKUOKA Smart EAST」の先導プロジェクトとしても位置付けられており、日本最大級のスマートシティ開発を謳うほか、次世代通信基盤であるIOWN構想の活用も視野に入れ、都市全体でスマートサービスを統合・更新していく構想が示されている。
計画では、特徴的な「イノベーションコア」を中心として、ゾーン特性に応じた交流・発信・実証を促すスマートステージの整備や、街の骨格を形成する5つのメインストリートなどを整備。また、「箱崎創造の森」と題して緑化率約40%・樹木1万本以上による圧倒的な緑量の緑空間の確保を進めていくほか、九州大学時代の街割りグリッドや街並み高さなどを継承し、近代建築遺産と調和するスカイラインの形成などを行っていくとしている。
具体的には、業務・研究機能としてイノベーション拠点「BOX FUKUOKA」やライフサイエンス研究拠点「ライフサイエンスパーク」、新たな駅前ビジネス街区「North gate Hakozaki」などのほか、交流・にぎわい機能として福岡・九州の豊かな食をテーマにした日本最大級の食のエンターテイメント交流拠点「フクオカサステナブルフードパーク」や「ブック&カフェ」「交流広場」などを盛り込んでいる。
ほかにも、「箱崎版地域包括ケアシステム」を構築した医療・福祉機能や、九州大学100年のレガシーを継承した教育機能、各ゾーンの立地特性や利用シーンに合わせた生活支援機能などが盛り込まれているほか、多様な人たちが安心して暮らし、交流やコミュニティが生まれる多種多様な居住機能なども整備していく方針。具体的な居住機能としては、2,000戸の分譲住宅や単身者向け賃貸住宅、高齢者向け住宅、共同社員寮、学生寮などが挙げられている。
スケジュールでは、2028年度の第1期まちびらきを皮切りに、36年度にかけて段階的に整備が進んでいく見通し。また、エリア内にある箱崎中学校の移転開校時期や、将来活用ゾーンについては未定となっている。
なお、今回の住商らのグループによって再開発が進められる南側エリア約28.5ha以外の、北側エリア約20haについては、福岡市立箱崎中学校の移転を含めた公共施設の再配置および移転跡地の活用などが、福岡市が主体となって行われる予定となっている。
そのほか、九大・箱崎キャンパス跡地のすぐ近くを通るJR鹿児島本線の千早~箱崎駅間では、今後の再開発を見込んで新たに「JR貝塚」駅が設置される計画。「JR貝塚」駅は、西鉄貝塚線および福岡市地下鉄の貝塚駅の東側付近、既存のJR箱崎駅から約1.7km、JR千早駅からは約2.3 kmの距離となる場所で、現在はJR線路の踏切があるところに、踏切を廃止するかたちで設置される。新駅の東西を歩行者などが行き来できるよう市が自由通路を整備する方針で、新駅の開業時期は27年を予定している。
【坂田憲治】








