熊本で管理8,500戸のアズマシティ開発 菊陽・大津「需要は再び活発化」

(株)アズマシティ開発
代表取締役社長 東伸彦 氏

(株)アズマシティ開発 代表取締役社長 東伸彦 氏

 熊本市や菊陽町、大津町の不動産市況について、同エリアを中心に約8,500戸の賃貸管理を手がける(株)アズマシティ開発の代表取締役社長・東伸彦氏に話を聞いた。

理念は「共存共栄」

 ──創業以来掲げてこられた「共存共栄」という理念について教えてください。

 東 当社の経営の根幹にあるのは、「ご縁をいただいた方々を幸せにしたい」という思いです。お客さま、社員、取引先など、関わるすべての方と良い関係を築き、互いに成長していくことを大切にしています。不動産業は利益だけを追求すると短期志向になりがちですが、私たちは長期的な信頼関係を築くことを重視しています。

 当社は、賃貸仲介や管理を中心とした事業を展開しており、物件の募集から入居、退去までを自社で対応する体制を整えています。売買中心のフロー型ビジネスではなく、オーナーさまの資産価値を長期的に守るストック型ビジネスを基本にしている点が特徴です。

熊本地震が試した組織力

 ──熊本地震は、企業経営にも大きな影響を与えました。

 東 震災当時は、管理物件の被害報告が約2,500件にのぼり、会社のライフラインも止まりました。多くの社員が避難所から出勤し、ゴールデンウィークも返上して対応しました。既存入居者の修繕対応と、住まいを失った方への「みなし仮設住宅」の案内が同時に発生し、数カ月間は非常に厳しい状況でした。

 それでも乗り越えられたのは、チーム制の組織体制があったからです。当社では、個人ノルマを設けていません。チームで目標を共有する文化があるため、非常時には自然と助け合いが生まれます。この経験は、オーナーさまとの信頼関係をより強固なものにしました。

 ──震災の経験は、現在の経営にも生きているのでしょうか。

 東 大きく影響しています。震災時には、「誰がどこにいるのか」を把握することの重要性を痛感しました。現在は社員全員で共有するスケジュールアプリや安否確認システムを導入し、情報共有のスピードを高めています。

 これは単なる業務効率化ではありません。災害時でも迅速に対応できる体制を整えるための取り組みです。情報を可視化することで、組織としての安心感を高めることができます。

急変した不動産市場

(株)アズマシティ開発    ──TSMC進出により、熊本の不動産市場は大きく変化しています。

 東 とくに大津町や菊陽町では、地価の上昇が顕著となりました。2024年の地価公示でも、商業地の上昇率は大津町が33.2%で全国1位、隣接する菊陽町も30.8%で全国2位となりました。半導体関連企業の進出によって住宅や商業施設の需要が一気に高まり、それが地価の上昇につながっていると感じています。25年は、一時的に不動産市況が鈍る場面もありましたが、26年に入り需要は再び活発化しています。管理物件のうち新築物件については、稼働も安定しつつあり、多数の物件で満室になっています。

 とくに大きく変化しているのは入居者層です。たとえば大津町では、大手企業が500~600戸規模の大型賃貸マンションを計画しています。こうした動きは、高所得層も含めた新たな流入を象徴するものといえます。加えて、ソニーや東京エレクトロンといった長年熊本を支えてきた企業に、TSMC進出による半導体関連需要が重なり、市場のポテンシャルはさらに高まっています。その結果、家賃相場も上昇し、大手デベロッパーによる大規模開発が相次ぐなど、熊本の不動産市場はこれまでにない局面を迎えています。

台湾から大学生インターンを受け入れた
台湾から大学生インターンを受け入れた

    ──海外との関係も強まっています。

 東 TSMCの進出にともない、台湾からの入居者が増えています。熊本県の外国人人口も、24年1月1日時点で前年から24.2%増と、全国で最も高い伸びを記録しました。こうした状況を受け、当社では中国語に対応できるスタッフを採用し、入居者からの相談やトラブル対応を行う体制を整えました。さらに、その流れで台湾の不動産会社「奥村不動産」と業務提携を結び、現地の投資家が熊本の物件を安心して購入・管理できる仕組みを構築しました。

 また、台湾向けにYouTubeで日本の不動産投資を紹介するなど、情報発信にも力を入れています。海外からの投資は、熊本の不動産市場にとって新たな可能性をもたらしています。

目標は管理1万戸

 ──今後の目標について、教えてください。

 東 現在、約8,500戸の管理をさせていただいておりますが、2~3年以内には管理戸数1万戸の達成を目指しています。ただし、単に戸数を増やすことが目的ではありません。オーナーさまの資産価値を最大化することが、当社の本来の役割です。相続対策や売却支援など、資産運用をトータルでサポートする体制を強化していきたいと思っています。

 熊本は今、歴史的な転換期にあります。震災を乗り越えた地域が、新たな産業を迎え、さらに発展していく。そのなかで、地域に根差した不動産会社として役割をはたしていきたいと考えています。

【内山義之】

本社ビル
本社ビル

<COMPANY INFORMATION>
代 表:東伸彦
所在地:熊本市東区新南部5-4-20
設 立:1991年10月
資本金:1,000万円
URL:https://www.azumacity.com


<プロフィール>
東伸彦
(ひがし・のぶひこ)
1982年3月生まれ、熊本市出身。東海大学卒業後、2005年4月、(株)アズマシティ開発に入社。賃貸店舗の現場実務を10年間、その後収益物件の売買などの経験を経て、16年8月、同社副社長に就任。19年8月に代表取締役に就任。趣味は子育て、旅行、ソフトバンクホークス試合観戦。

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