対日投資を強化するマイクロソフトとスキャンダルに足を引っ張られるビル・ゲイツ氏

 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。
 今回は、4月24日付の記事を紹介する。

 トランプ大統領の朝令暮改発言で世界が揺れ動いています。イランとの停戦交渉しかり、ウクライナへの支援しかりです。

 日米関係も例外ではありません。トランプ大統領に「世界を平和で豊かにできるのは、ドナルドしかいない!」と擦り寄っている高市首相は、対米投資5,500億ドル(約87兆円)を約束。

 ところが、巨額の対米投資の受け皿となっているのは大半がトランプ・ファミリーの関連企業やMAGAと呼ばれるトランプ支持者の多いラストベルト州のエネルギー・プロジェクトのオンパレードです。

 資金を提供する日本企業にとってのうまみは限られており、アメリカべったりの高市首相に対する批判や不満も溜まっています。

 そんな状況を逆手に取って、対日関係の改善と強化の最前線に立ち上がっているのがマイクロソフトに他なりません。というのも、マイクロソフトは北海道の石狩に大規模なAIデータセンターを構築するなど、対日投資100億ドル(1.6兆円)を宣言しているからです。

 先に来日し、高市首相とも面談したブラッド・スミス社長は「日本との共生を目指す」と前向きの発言を繰り返し、「今後も日本企業と連携し、2030年までに100万人のAI人材を育成する」とまで大胆な構想をぶち上げました。

 スミス氏は弁護士出身ですが、「日本の“和”や“道”の精神はAIに欠けている倫理観を補完する世界最高のモデルになる」と日本文化への理解の深さをアピールしています。同氏のリーダーシップの下、マイクロソフトは日本のみならず、アジア諸国にも研究開発拠点を次々と立ち上げ、世界のデジタル地図を塗り替える意気込みを見せているではありませんか。

イメージ    一方、マイクロソフトの創業者で、2020年、日本政府から外国人叙勲として最高位の旭日大綬章を授与されたのが世界有数の大富豪ビル・ゲイツ氏です。 しかし、小児性愛者ジェフリー・エプスタイン氏との交友関係が明らかになり、2026年に入り米司法省による新たな文書公開や議会証言の要請により、厳しい追及を受けています。その影響で、「AIサミット」などの公的な大型イベントへの出席を見合わせるなど、対外的な露出には制約が生じている模様です。

 本年6月には、米下院監視委員会でエプスタイン氏との関係について証言することが決まっており、事実上の「審判」を受ける場となります。ゲイツ氏はエプスタイン氏との接触を「大きな間違いだった」と認めつつ、違法行為への関与は一貫して否定しており、自身の財団の活動(2045年までの資産全額寄付など)を通じて信頼回復を試みているようですが、ひとたび地に落ちた信用を取り戻すのは至難の業と思われます。

 エプスタイン氏との関係を危ぶんだメリンダ夫人の忠告も無視したため、ゲイツ氏は離婚を余儀なくされ、莫大な慰謝料を夫人に支払うことになりました。それ以外にも、財団の女性スタッフとのスキャンダル等が次々に発覚し、ゲイツ氏は窮地に追い込まれ、かつての輝きは見る影もありません。当然でしょうが、マイクロソフトの経営からは表向き退かざるを得なくなりました。とはいえ、創業者でもあり、同社の対日投資やエネルギー戦略においては「アドバイザー」として背後で関与し続けています。 

 現在、マイクロソフトの直接的な経営判断はインド出身のサティア・ナデラ会長と先に紹介したスミス社長が行っていますが、ゲイツ氏は裏での影響力の行使に腐心しているようです。

 具体的にゲイツ氏が注力しているのは次世代型原発(小型モジュール炉:SMR)技術に他なりません。SMRはデータセンターの膨大な電力需要を賄うための核と見なされているもの。対米投資や対日投資のインフラ整備においても欠かせないため、ゲイツ氏の関連企業が日本の電力会社等と連携する構想が、密かに協議されているようです。

 果たして、寿司が大好きで、お忍びで来日を繰り返しているゲイツ氏ですが、名誉回復に至ることができるのでしょうか?


著者:浜田和幸
【Blog】http://ameblo.jp/hamada-kazuyuki
【Homepage】http://www.hamadakazuyuki.com
【Facebook】https://www.facebook.com/Dr.hamadakazuyuki
【Twitter】https://twitter.com/hamada_kazuyuki

関連記事