福岡県議会最終日、蔵内体制との決別は進むのか~アクロス福岡の獣医師会オフィス支援見直しへ

 福岡県議会は16日、9月定例会の最終日を迎えたが、正副議長ポストをめぐる金銭授受疑惑や海外視察問題を調査するための百条委員会の設置議案の取り扱いに関して、まとまらない状況にある。吉松源昭県議や国民民主党の大田京子県議ら超党派の9人は、13日、金銭授受疑惑と海外活動費の問題で、罰則をともなう強い調査権限をもつ「百条委員会」の設置を提案していた。

百条委の採決が不透明

 百条委の提案には加わっていない旧民主会派のある中堅県議は当社の取材に対し「13日の議会事務局長の発言は不適切である」としながら「議会事務局は、長時間の抗議電話や情報公開請求などへの対応に追われ、深夜にまで業務がおよんでいて、これ以上業務を増やさないでほしいとの声だろう」との見方を示した。

 午前11時とされた開会予定も代表者会議や議会運営委員会の開催などで大幅にずれこんでいる。本会議で採決するのか、委員会に付託するのかなどの取り扱いが懸案となっている。自民側は継続審議とすることを狙っているともいわれるが、吉松氏らは「継続というのは実質否決だ」「今議会中に採決すべき」と主張している。

 一方、服部誠太郎知事は、今後も「議会への根回しは行わない」と言明したほか、14日の決算特別委員会の知事保留質疑でも、蔵内勇夫前議長が所長を務める「アジア獣医師会連合ワンヘルス福岡オフィス」(FOF)に対する事務所経費の支援を縮小する意向を明らかにした。また、議会棟1階にある「九州の自立を考える会」について活動実績などを確認しないまま部屋を提供してきたことを認め、見直しを行うと答弁した。

 県の説明によると22年2月、蔵内氏が日本獣医師会長として服部誠太郎知事に誘致を依頼した。県はアクロス福岡をワンヘルス福岡オフィスに選び、同11月、服部知事とアジア獣医師会連合会長との間で、賃借料や光熱費などを県が全額負担するとの覚書を締結している。

 なお、福岡県は2人の県職員をFOFに研修名目で派遣している(9月から1人に減員)が、23年4月から26年8月の給与総額は約4,333万円。人件費や光熱費などの負担額は1億円を超える。

 かつて福岡県は、同和教育団体(県同教)に現職の公立小中学校や県立高校の教諭をFOF同様、研修名目で派遣していたことが行政訴訟で争われたが、長年にわたり県同教へ教諭を派遣してきたことを「違法」とした福岡高裁判決(05年10月)が最高裁で確定しており、自民党や共産党の議員が国会で取り上げたこともあった。FOFに関しても県同教同様、研修名目で団体業務に従事させることは、適法なのか疑問が残る判断である。

考える会は「県議会の知事室」

 県は「九州の自立を考える会」に対し、設立以来15年以上にわたり、年間51万円の使用料で議会棟1階の一室を事務局として利用することを認めている。会長には原口剣生氏(自民党福岡県支部連合会常任相談役)、副会長には、吉村敏男氏(立憲民主党福岡県総支部連合会顧問)など主要会派の県議や元県議が理事などに就任している。

 以前、吉村氏を取材した際にも「考える会」内にある副会長室を指定され、取材を行ったことがあるが、異例の厚遇である。吉村氏は、県議会問題がクローズアップされる前、立憲のみならず、国民民主党にも選挙戦術に対するアドバイスを行っていたほか、幹部とゴルフを行うなど他会派とも親睦を深めていたことを認めていた点も付言しておきたい。

 そうしたことから「県議会の知事室」とも呼ばれていた。服部知事は、来年度、「考える会」より利用申請が行われた場合、「議会活動との関連性などを十分確認し判断する」と述べたが、議会との力関係で再び許可となれば、県民の批判が高まることになるだろう。

 みやま市に建設中の「ワンヘルスセンター」について、県発注の工事の一般競争入札は11件で、このうち1者のみの応札が9件で、6件の落札率が99.9%であったことが明らかになった。知事は「不正が行われたとは判断できない」としたものの、「入札審議委員会」に諮問する考えを示している。

 最終的に25年度決算は賛成多数で認定されたものの、ワンヘルス経費の取り扱いの厳格化や海外視察の透明性確保などを求める付帯決議が可決された。

 問題は知事と議会の距離感である。事前の協議などを一切行わないというのも議会答弁の正確性などの観点から疑問が残るが、50年以上におよぶ福岡県政の癒着関係を是正しようという服部知事の決意は本気だろう。自民だけでなく県政与党である民主会派の支持団体である県職員労働組合との関係も含めて今後踏み込んでいけるのか、注目されるところである。

【近藤将勝】

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