2024年12月27日( 金 )

シャープの危機~その前兆は20数年前からあった(番外編1)

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 電機メーカーは大きく分けると家電売上が20%以下が総合電機メーカーとされ、それ以上が総合家電メーカーに分類されている。

◆総合電機メーカー(3社)の得意分野
・日立製作所  鉄道車両・建設機械・重電などの社会インフラ事業。
・東芝      発電(含む原子力発電)・システムのインフラ事業
・三菱電機   産業用ロボット

◆総合家電メーカー(5社)の得意分野
・ソニー     映像部門(映画など)・音響装置・ゲーム機
・パナソニック 特許などの知財や電池事業
・富士通    ITサービスマネージメント・エレクトロニクス
・NEC      人工知能(AI)による社会ソルーション事業
・シャープ   液晶テレビ・ソーラーパネル

日本の大手電機メーカーの経営状況について

 別表(1)は日本の大手電機メーカー8社の2016年3月期の経営実績及び予想を表したものである。得意分野で業績回復する企業と、韓国・中国などの新興国の追い上げによって、厳しい経営状況が続く企業との明暗がはっきりしてきている。

表から見えるもの

◆勝ち組は日立製作所・三菱電機・ソニー・パナソニックの4社。
・15年9月期決算を見ると、堅調な三菱電機と、V字回復のパナソニックと日立、そしてソニーの業績好調が目立つ。
◆負け組は業績悪化に歯止めがかからない東芝・富士通・NEC・シャープの4社。
・この中で経営危機に陥っているのが東芝とシャープだ。東芝が粉飾を始めたのは、福島の原発事故や半導体(NAND型メモリ・イメージセンサー)の不振からだといわれる。
・シャープも得意分野の液晶や太陽電池パネルが、海外勢との価格競争に敗れたのが原因といわれる。
・富士通はITサービスマネージメント、NECは人工知能(AI)など、今後成長が見込まれる分野への構造改革を進めており、生き残れるかどうかはその成否次第と見られている。
◆いずれにせよ勝ち組であっても、いつ負け組に入るか分からないのが電機業界の現況である。今まさに日本の電機メーカーに求められているのは、海外勢からまねをされない先端技術の開発を、如何に着実に続けていくかだといえよう。

我が家の電機製品について

 この記事を書きながら、ふと自宅にある電気製品を調べてみた。hyou2

表から見えるもの

・テレビは3台のうち、2台はシャープ製で、一番新しいのはパナソニックの液晶型。
・我が家に富士通の製品はなく、17点のうちパナソニック製品が8点とほぼ半分を占めている。別にパナソニックを贔屓にしているわけではないが、パナソニックは特許申請が一番多いと言われており、顧客ニーズに合わせた製品づくりが業績急回復の要因といえそうだ。

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※クリックで拡大

(つづく)
【北山 譲】

 
(番外編2)

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