アビスパ福岡への出資で地元・福岡の活性化へ尽力する（後）

（株）システムソフト　代表取締役社長　吉尾　春樹

福岡への恩返し

　同社は14年９月に、Ｊリーグディビション２のアビスパ福岡へ、１億円の出資を実施した。これは「アビスパの危機的状況に手を差し伸べて、その状況を回避できる一助となりたい」という私心のない純粋な心からである。

　「地元のプロサッカーのクラブが厳しい経営状態に立たされていることは、周知の事実でした。福岡市の発祥である企業として、そして福岡市民として何かできないだろうかと考え、アビスパ福岡への出資を決めました。アビスパはご存じの通り、静岡県藤枝市の中央防犯サッカー部が前身であり、アビスパ福岡となって20年を迎えました。藤枝市の方々の想いを引き継いだ、福岡のかけがえのない財産であるアビスパを、絶対に消してはならないという一心でした。そこでまずは、お金の心配を解消することが先決だと考えました」（吉尾代表）。

　吉尾代表は、サッカーについては門外漢である。だが、このアビスパの支援の話が浮上してきた頃から、アビスパの試合にできる限り帯同し、現況を冷静に見て分析してきた。フィールド上とフロント側とさまざまなマネジメントの課題が出てきたが、まずは「お金の心配を解消してから」と出資を行った。

　なお、１億円の出資でアビスパの筆頭株主となったが、同社がオーナーになるという意向はない。「弊社の力量は微々たるもの。福岡地場の中小企業が中心となったアビスパの応援団を形成し、Ｊ１に復活してスタジアムに人々が集い、サッカーを通じてその空間と時間を楽しんでいただき、福岡の誇りとなるように私たちも全力で応援していきたい。それが福岡への恩返しとなり、地域の活性化の一助となれば嬉しい限り」とアビスパへの全面的なサポートへの熱き思いを述べる吉尾代表。その姿勢は、同社の本業と同様に顧客の『黒子』としての役割に徹して、地道な活動によって培われる顧客からの高い信頼につながる。

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（株）システムソフト 吉尾 春樹 代表取締役社長

　「私たちは、サッカーの現場のことはわかりません。私たちの役目は、アビスパの応援団として、ファン・サポーターとともに応援していくことだと思います。そのために、私たちと同じくアビスパを応援していきたいという方とご一緒に、アビスパグローバルアソシエイツ（略称AGA）という組織を立ち上げました。地域のためにと立ち上がっていただいた理事の方が約50名、すでに会員は5,000名を超えています。また、スポンサーになっていただける会社の数も昨年の３倍は見込めております。AGAの一番の目的は、『アビスパが今、どのような活動をしているのか』ということをPRしていくことです。現在は、旗・のぼりやポスターをさまざまな場所で掲げていただき、露出させていただいております。また、会員の皆さまに情報を届けるメールマガジンも積極的に活用しています。これらの情報発信とともに、１人でも多くの方々にスタジアムにお越しいただき、アビスパの活動をご覧になって、楽しんで応援していただけるような運営を実践していきます。後援会を基本とし、ファンクラブの強化、地場大手企業の継続したサポート体制と地場の中小企業の連携で、アビスパのサポートの体制を構築していきたいです。また、選手のセカンドキャリアに対するサポートにも着手していく所存です。スポーツという公共性への投資は、地域社会への貢献で福岡への恩返しと心得ております。弊社の株主にもその思いは伝え、理解していただいていると思います。新たなアビスパにご期待ください」（吉尾代表）。

　目立つようなパフォーマンスではなく、実務をベースに着実に堅実に事業を展開する同社。今後もシステム開発を中心としたソリューションの構築を継続していく。今後の同社の本業での成果とアビスパ福岡の再建と進化に、注目していきたい。

（了）

※記事内容は2015年８月31日時点のもの

＜COMPANY INFORMATION＞
（株）システムソフト
代　表：吉尾　春樹
所在地：東京都千代田区紀尾井町4-1
福岡本社：福岡市中央区天神1-12-1
設　立：1979年９月
資本金：14億8,524万円
ＴＥＬ：092-732-1515（福岡本社）
ＵＲＬ：http://www.systemsoft.co.jp

＜プロフィール＞
吉尾　春樹（よしお　はるき）
1960年６月生まれ。長崎県出身。県立長崎西高等学校から東京大学法学部を経て、83年４月に日本電気（NEC）入社。そこでの経験をもとに、92年７月に同社に転身。企画部長、エンジニアリング事業部長を経て、2005年12月から同社代表取締役社長。