収益性とデザイン性の両立、求められる顧客との経営感覚・想いのシェア(前)
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(株)志賀設計
『建築大好き』が集う場所
「原点はモノづくりです」。そう語るのは、地元・福岡だけにとどまらず、海外にも拠点を敷く、(株)志賀設計の代表取締役社長である八島英孝氏だ。自身も一級建築士としてのキャリアを持つ八島代表は、これまで数多くの建築デザインに携わってきた。「福岡県立修猷館高校体育館棟」をはじめとする教育関連施設や、「永田整形外科病院」といった医療・福祉関連施設など、同社がデザインを手がけた建築物は、福岡の都市形成において、その存在感を余すところなく発揮している。
こうした、デザインを通した都市景観・社会インフラへの貢献は、社員1人ひとりの自信にもつながる。街で見かけた目新しい建物を、「自分たちがデザインした」と胸を張って言える――。この喜びは、クリエイターだからこそ味わえるものだ。「弊社の掲げる理念、それは『建築大好き』というものです。建築と一口に言っても、デザインをはじめ、資材は何を使用するのか、予算はいくら必要なのかなど、お客さまとの打ち合わせを通じて、吟味すべきことはたくさんあります。大変な作業ではありますが、『建築大好き』といった想いが根底にあればこそ、その苦労も楽しめるのではないでしょうか。建築物を通してその時々の文化を後の時代に継承させていける仕事でもありますので、やりがいのある仕事だと思います」(八島代表)。
顧客第一のデザイン設計を
1953年の設立以来、高品質の建築デザインを提供し続け、100名を超えるOBを輩出してきた名門設計事務所でもある同社。しかし、時代の移り変わりとともに現在ではクリエイターとしての独自性以上に、求められているものがある。それは顧客満足度だ。
「私たちがデザインした建築物は、次世代に遺っていくものです。だからこそ、『公共性・環境性』というものを重視しています。加えて、物件オーナーさまの目線で考えると、費用はいくらかかり、収益はきちんとあげることができるのかという、経営の視点が重要になってきます。この視点を欠いてしまうと、やはりお客さまからの信頼を勝ち得ることは難しくなってしまいます。だからこそ、企画力・提案力といったものが、私たちには求められます。自分本位の設計・建築ではなく、顧客の満足を第一に考えた設計・建築を実施することができなければ、これから先、生き残っていくことは難しいでしょう」(八島代表)。顧客との綿密な打ち合わせから、プランをまとめあげ、施工依頼をかける。顧客とともに作成したプランに対応できないという施工業者には、施工を依頼しない。この流れを徹底しているからこそ、顧客と同社との間で交わされた見積もり金額が、施工完了までに変動することはない。予算の範囲内で仕事を完結するので、顧客は安心して仕事を任せることができる。
「弊社では、直近3年間で、一度も不調物件を出したことがありません。おかげさまで、コストプランに関しては絶対の自信があります」(八島代表)。かつては、施工中にそれまで70万円/坪だったものが100万円/坪に急変するといった事態も散見された。誤解を恐れず言うならば、先行きが見えないから費用の概算を出せないという言い訳が立ったのだ。しかし、「失われた20年」と呼ばれる景気低迷の時代が長らく続き、顧客はコストに対して厳しい態度で臨むようになった。そのため、そうした顧客のニーズを満たすために、コストを明確に提示する必要が出てきたのだ。「組織として活動することの強みは、お互いに足りないものを補完し合えるところにあると思います。それでも、これから先を見据えれば、やはり1人ひとりがお客さまとビジネスレベルで話し合える人材へと成長していくことが望ましいでしょう」(八島代表)。
(つづく)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:八島 英孝
所在地:福岡市城南区鳥飼5-20-11
設 立:1953年10月
資本金:1,000万円
TEL:092-821-5631
URL:http://www.shiga-ae.com/<プロフィール>
八島 英孝
1955年福岡生まれ。京都大学建築学科卒業。一級建築士。医業経営コンサルタント。CMAJ認定マネージャー。法人名
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