挑戦を続け世界一の学習塾を目指す（前）

（株）個別指導塾スタンダード

躍進する個別指導塾

　「低価格で良質なサービスの提供」を経営理念に、個別指導塾の運営を行う（株）個別指導塾スタンダード。同社の代表である吉田知明氏が教育事業と出会ったのは、学生時代に行ったアルバイトがきっかけだった。もともと吉田氏は、エンジニアだった父親の影響もあり、工学部機械工学科に進学。自身も漠然とながらもエンジニアの道を志していた。だが、そのときに始めた学習塾でのアルバイトで、「生徒の合格」という教育の醍醐味とも言える出来事を経験。人生観を変えるほどの衝撃を受けた。「教育を一生の仕事にしよう」―そう決意した吉田氏は、学習塾以外に業界最大手の家庭教師派遣会社でもアルバイトを開始し、その後、そのまま就職した。入社初年度に社長賞を受賞するなど、頭角を現した吉田氏は、支店長を経て、入社４年目に九州ブロックの責任者として福岡に赴任。その福岡の地で、当時はまだ富裕層向けが主だった家庭教師派遣業界で初めて「入会金０円」「高額な教材販売なし」という革新的なサービスを打ち出した。

　そうして2001年に「スタンダードカンパニー」として福岡において個人で起業し、翌02年に有限会社として設立。当初は家庭教師派遣業を手がけ、福岡以外にも広島、岡山、滋賀、岐阜などに支店を広げていった。04年には株式会社へと組織を変更し、同年に社内ベンチャーとして立ち上げたのが、現在の事業の大黒柱となっている「個別指導塾」だ。翌05年からしばらくの間は家庭教師派遣業と個別指導塾とを並行して展開していたのだが、その後、企業経営上最大のターニングポイントとなったのは08年のリーマン・ショックだった。

　世界的な不況の波は日本にも押し寄せ、当時は家庭教師派遣での退会が相次ぐという事態に陥った。そこで、同社では家庭教師派遣の新規募集を縮小し、個別指導塾へ業態を転換。当時、都会でのマンション増加と戸建て住宅の減少という住宅事情の変化に加え、家庭教師といえども家や部屋に入られたくないという風潮が高まり、全国的に個別指導塾が支持されるようになっていったという時代背景があった。なかでも同社の「個別指導塾スタンダード」は、きめ細かい指導で成果を上げる一方で、そのリーズナブルな価格設定が高く評価され、生徒数を大きく伸ばすに至った。

　その後、同社は塾経営から派生する関連企業の設立も行い、11年11月にグループを統括する持株会社として（株）SCホールディングスを設立。（株）個別指導塾スタンダードは、グループの中心として、個別指導塾の展開を加速。現在では、同社は全国21都道府県に300教室以上を展開するまでに成長した。ゆくゆくは全国で1,000教室の展開を目指しているという。

（つづく）

＜COMPANY INFORMATION＞
代　表：吉田　知明
所在地：福岡市博多区店屋町8-17 MSTビル7F
設　立：2002年
資本金：1,000万円
ＴＥＬ：092-283-1188
ＵＲＬ：http://std-ie.jp

＜プロフィール＞
吉田　知明
1972年12月、鳥取県生まれ。岡山大学工学部卒。2001年、スタンダードカンパニー（現・（株）個別指導塾スタンダード）を創業し、家庭教師派遣事業を開始。11年に（株）SCホールディングスを設立し、代表取締役社長に就任。趣味はゴルフ。