2024年11月23日( 土 )

マンション管理のノウハウを活用し、ペットのトータルサービスを展開(前)

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(株)ビースパ

環境が大きく変化するなかで、ペット事業をいかに展開するか

bs マンション管理を手がける(株)コミュニティサービスが多角化の一環で始めたペット事業。もとはペットサロン「ビースパ」のフランチャイジーだったが、2012年にフランチャイザー(本部)となり、グループ会社の(株)ビースパサプライが運営に乗り出した。
 今年2月には社名を(株)ビースパに変更し、グループが所有するビルに本社事務所を移転して本格的な体制を整えつつある。店舗は福岡市、北九州市のほかに春日市、筑紫野市に直営10店、FC2店を構え、カット&ホテルをメインに物販と送迎などのサービスも手がけている。

 「ショップ全体を管理運営して3年が経過し、年間のスケジュールとか、利益を出せる部分とか、ビジネスの全体像を掴むことができました。これまで生体は販売してきませんでしたが、インターネットや大型モニターを活用して、店舗を訪れるお客さまはもちろんネットを通したお客さまにもアピールすることは可能です。本社移転をきっかけにグループが持つ力を活用することで、個店にはない展開ができると思います」と、樫山司社長は意欲的だ。

 ペットを取り巻く環境は大きく変化している。法整備が進んで、拾い犬を飼うケースがなくなり、高齢化でブリーダーも減少。犬の生体価格は上昇しているため、経済的な余裕があり、ペットへの投資を惜しまないというのが飼い主の傾向だ。また旅行などで飼い主が留守にする場合、猫は放置できても犬は散歩させる必要があるため、ペットホテルの需要は底堅い。それにトリミングや送迎を組み合わせると相乗効果が発揮できる。
 一方で、高度情報化により子どもたちのライフスタイルが変わってきている。だからこそ、動物に触れる機会の提供は重要な意味を持つ。1つひとつのサービスは決して高い利益を生み出さないが、派生サービスを考え出すことで、商機を掴もうというのが同社の狙いだ。

マンションの管理ノウハウを活かしたサービスの提供

 では、同社が考えるビジネスとは具体的にどんなものか。それはペットライフにより深く入り込むことだ。
 例えば、飼い主は高齢者が多いため、ペットに関する心配事をできるだけ取り除くことだ。そのなかには飼い主の死後、どう面倒をみるか、逆にペットロスの心理ケアをどうするかなどの情報提供やサービスも含まれる。獣医師を雇用しての診療や体調管理、病院経営も考えられる。またペット同伴化のホテルを運営したり、宿泊施設と提携してペットのみを預かるサービスがある。
 ペット事業そのものは非常に地道な仕事だ。そのため、事業ノウハウを積み上げていかなければ、顧客の信頼を勝ち得ることはできない。しかし、グループの総合力を活かすことで事業のポテンシャルは多方面に広がる。

 「動物病院は治療云々から、月に何度か来院してもらって、病気を未然に予防するような経営スタイルに変わってきています。マンション管理も管理精度を高めて、迅速な対処・対応を行っていますので、共通する部分はあると思います。現在でもトリミングをする時に足におできができていたなど、飼い主が気づいていないことをお伝えすることができるなどのノウハウは持っています。『ペットのことならビースパに聞いて』と思ってもらえるような事業にしていこうと考えています」(樫山社長)。
 また、カットの途中に気づいたことを情報端末に入力しておけば、担当スタッフが不在でも飼い主に画面上やペーパーで、ペットの状態を報告することが可能になる。同社ではこうしたサービスが提供できれば、顧客の満足度も増すし、クレームも少なくなると読む。母体のコミュニティサービスが持つマンション管理システム「ノーツ」をペット向けに応用したものが開発できれば、ビジネス展開はさらに広がっていく。

(つづく)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:樫山 司
所在地:福岡市南区塩原4-1-31 オークヒルズ大橋ビル
設 立:1990年5月
資本金:1,000万円
TEL:092-557-8600
URL:http://www.b-spa.co.jp

<プロフィール>
kasiyama_pr樫山 司
1984年、東海大学(旧・九州東海大学)工学部経営管理学科卒業。85年、新生ビルサービス(株)に入社。92年、同取締役に就任。96年、(株)コミュニティサービスへ社名を変更するとともに代表取締役に就任。現在、(株)ビースパの代表取締役も兼任。

 
(後)

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