2024年11月20日( 水 )

有名店「かじしか」も容赦なく潰す!高島市政「屋台文化の継承」に疑問

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 予約がなければ入れないほど観光客に人気の屋台「須崎屋台かじしか」が福岡市の公募に落選し、来年(2017年)3月末での廃業を余儀なくされる。このニュースは各方面に衝撃を与えた。NetIB-NEWSでも「かじしか」を「地元の人や観光客のみならず、芸能人も多数訪れる中洲で人気の屋台」として、その人気の理由に迫った。

 「かじしか」の大将は、下村和代さん。親戚の屋台を引き継ぎ、父親の克彦さんと2010年に「須崎屋台かじしか」を開店した。屋台名は、和代さんの「か」、和代さんの弟2人から「じ」と「し」、克彦さんの「か」を取って命名。「将来2号店を出すことになったら、母の名前『みえこ』にしたい」と夢を語っていた。(2016年6月17日掲載)

 大将・和代さんの夢は、「福岡市屋台基本条例」によって実現が難しくなった。「かじしか」は、名義貸しによる営業のため、来年3月末で営業許可が取り消しとなる。存続するには、9月から10月にかけて募集が行われた福岡市の屋台営業候補者公募に応募しなければならなかった。

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お客から6周年記念として贈られた似顔絵

 「福岡は、美味しい屋台や居酒屋がたくさんあって競争が激しい場所です。他の屋台にはないものを出そうと、家族会議を開いてメニューを決めています。地産地消にこだわって、野菜や魚介類など食材は地元の新鮮なものを使っています」(同記事より、和代さんのコメント)。福岡の食を県外からの観光客に伝える「かじしか」は、福岡県の広報活動に協力するなど、まさに「観光資源」だった。

 これまでの営業における地域への貢献と存在感を考えれば、新しい屋台の模範として残るにふさわしい屋台と思われていた。しかし、現実は、書類による1次審査で落選。結果通知には点数が記されているが、具体的に何が何点なのか、内容まではわからないという。公募の審査委員13名は、面接による2次審査の機会も「かじしか」に与えなかった。

 高島宗一郎福岡市長は、今回の公募に関する7月28日の定例会見で「いい屋台は、一代が終わった後も公募の手続きを踏んでずっと続けて残っていただきたい」「福岡の屋台の文化を後世につないでいきたい」などと語っている。今回、夢をもって応募し、新たに選定された屋台も、3年後には公募による更新は避けられない。どんなに実績を積んでファンが多くても、書類審査で“一発アウト”となる審査で、はたして、屋台文化の継承ができるのだろうか――。

【山下 康太】

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