「コンビニ三国志」は三菱商事と伊藤忠商事の戦争だ!(前)
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コンビニエンス業界が、風雲急を告げている。「コンビニの生みの親」である(株)セブン&アイホールディングスの鈴木敏文会長が失脚。9月にコンビニ3位の(株)ファミリーマートと同4位の(株)サークルKサンクスが統合し、店舗数でコンビニ2位の新ファミリーマートが誕生する。3位に滑り落ちる(株)ローソンは、親会社の三菱商事(株)が前面に出てきて巻き返しを図る。
ローソンは三菱商事出身の竹増氏に社長交代
ローソンは、三菱商事出身の竹増貞信副社長(46)が6月1日付で社長兼最高執行責任者(COO)に就任する。玉塚元一社長(53)は会長兼最高経営責任者(CEO)に就く。
竹増氏は、大阪大学経済学部を卒業。三菱商事に入社後、畜産畑を歩き、当時の上司は4月に同社社長に就任した垣内威彦氏。2014年5月に、小林健三菱商事社長(現・会長)の業務秘書から、次期社長含みでローソン副社長に送り込まれていた。なぜ、このタイミングでの社長交代か――。今年9月1日、ファミリーマートとユニーグループホールディングス(株)が経営統合して、持ち株会社ユニー・ファミリーマートホールディングス(株)を設立するからだ。傘下のコンビニ事業のブランド名は、18年度をメドに「ファミリーマート」に一本化する。
これで国内店舗数は、新ファミマが1万8,006店(ファミマが1万1,656店、サークルKサンクス6,350店=16年2月末時点。以下、同じ)。2位のローソンの1万2,395店を一気に抜き、首位の(株)セブン-イレブン・ジャパンの1万8,572店に迫る。ファミマに出し抜かれたローソンは、黙っていない。親会社の三菱商事が前面に出てきた。
商社利益トップの座を伊藤忠に奪われた三菱商事
三菱商事にとって伊藤忠商事は、目の上のタンコブだ。16年3月期決算で、商社業界に“伊藤忠ショック”が襲った。長年、君臨してきた三菱商事の連結最終赤字は1,500億円、2位の三井物産(株)も赤字額が700億円と、両社ともに初の連結赤字に陥る見通しだ。資源価格の下落が原因だ。
そんななか、三菱商事が15年間守り抜いてきたトップの座を奪ったのは、非財閥系で“野武士集団”と呼ばれた伊藤忠だった。3,300億円の最終利益を叩き出して、王座を奪取した。伊藤忠は、商社トップの記念に、特別ボーナスを支給するという。
三菱商事や三井物産の財閥系商社は、伊藤忠などの非財閥系商社を格下と見なしていた。そんな野武士集団に抜かれたのだ。商社のエリートを自負する彼らには、屈辱以外の何物でもない。プライドが高いOBたちは激怒したという。小林健社長は辞任。4月1日付けで垣内威彦氏が新社長に就いた。紳士集団なので露骨な言葉は使わないが、伊藤忠に敗れた事実上の引責辞任だ。
垣内新社長のミッションは、伊藤忠から首位の座を奪い返すことだ。そのためには、安定的な利益を稼ぐのに、非資源分野を強化することが喫緊の課題となった。非資源分野の稼ぎ頭であるローソンを直接統治することにした。三菱商事はローソンの株式の33.4%を保有する筆頭株主。三菱商事=ローソンが一体となって、伊藤忠=ファミマに対抗する。それが、ローソンの社長交代の理由だ。(つづく)
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