九州地銀(18行)の決算を検証する(4)
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2.貸出金残高について(1)
銀行収益の大きな柱は貸出金利息収入であるが、日銀のゼロ金利政策によって、貸出金利は史上最低の水準となっている。
低金利下で収益を上げていくためには、薄利多売方式により増やすしか方法はないが、1990年代初めに発生したバブル崩壊が悪夢のようによみがえる。別表の通り、貸出金を増やしても貸出金利息は増えていなのがわかる。今期はさらに貸出金利息収入は減少予想となっており、九州地銀の多くは減収減益予想となっている。
それではこれから九州地銀(18行)の貸出金について検証していくことにしたい。別表の貸出金残高順位表を見て頂きたい。第3位と第7位に順位変動があった。<表から見えるもの>
◆九州FG傘下の鹿児島銀行と肥後銀行の貸出金残高が逆転。第3位に躍り出た鹿児島銀行は、前期比1,819億円増の2兆8,643億円(+6.8%)。一方肥後銀行は前期比1,419億円増の2兆8,309億円(+5.3%)となり、▲334億円の差で第4位に転落。ただ両行が貸出金の増加を競い合っているなか、4月14日に熊本地震が発生。九州FGにとっては大きな試練迎えることになりそうだ。◆また十八銀行が同じ長崎県を地盤とする親和銀行を逆転。第7位に浮上した十八銀行は、前期比705億円増の1兆5,217億円(+6.0%)。親和銀行は前期比わずか11億円増の1兆4,652億円(+0.1%)となり、第8位に転落している。
◆宮崎銀行が健闘している。前期比1,000億円増の1兆7,634億円(+6.0%)と、第5位の大分銀行(1兆7,882億円)を猛追しており、その差はわずか248億円。このままの勢いを保てば今期逆転の可能性も出てきており、当面両行の動きに目が離せない状況となっている。
◆増加率トップは、+9.9%の北九州銀行で、貸出金残高は9,551億円(860億円増)。10%に迫る高い伸び率は、他行の肩代わり及び新規資金需要の掘り起こしが功を奏していると言えよう。それを可能にしているのは低金利による貸出攻勢と見られる。
・貸出金利(参考)を見ていただきたい。貸出金は期中平残ではなく期末残高であり、貸出金利息は期中累計から算出。やや荒っぽいがほぼ傾向として捉えることができる。この表から北九州銀行の貸出金利は1.11%と九州地銀18行中、一番低いのが分かる。次が肥後銀行の1.23%と続く。九州地銀(18行)の平均貸出金利は1.44%となっているが、今期はさらに下がることが予想されている。1.44%より高い金利で借り入れしている企業にとっては、金利引き下げ交渉の余地がありそうだ。
(つづく)
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