蔵内氏の地元・筑後市など6市議会で相次ぐ意見書可決に政治的思惑ではとの声

 30日午前に開催された福岡県柳川市議会臨時議会において、福岡県の海外旅費等支給の全容解明を求める意見書が提案され、議長を除く出席議員18人全員の賛成で可決された。

 柳川市は、蔵内勇夫県議会議長の地元・筑後市の隣に位置する。市民の間では、福岡県議会の高額な視察経費や、正副議長就任にあたっての金銭授受疑惑に対する批判の声が高まっていた。10月に市議選を控える中、多くの市議が「県議会はどうなっているのか」「自民に対抗して野党が県議選に挑むべき」といった市民の声を無視できなかった形だ。

 27日に可決した筑後市の意見書をベースに、30日開催の臨時議会において議会側から意見書提出の動議が出された。

柳川市議会で可決した福岡県の海外旅費等支給の全容解明を求める意見書
柳川市議会で可決した福岡県の海外旅費等支給の
全容解明を求める意見書

 提案者の緒方寿光柳川市議会議員は、データ・マックスの取材に対し「柳川市の県議は、自民党ではないが保守系で県政与党であり、市民からは市議も同じように見られる。あまりにも異常な額の海外出張や、正副議長ポストを金銭でやり取りしていることに対し、全国の地方議員仲間からも『福岡県は大丈夫か』と連絡がきた。地方政治全体の信頼を失墜させた」と述べたうえで、「以前から知る吉松源昭県議の勇気ある証言が大きく状況を動かしたが、吉松君の思いに続くべく意見書を提案した」と語った。

柳川市議会での意見書動議に賛同した市議
柳川市議会での意見書動議に賛同した市議

八女市議会は8月3日に会派代表者会議で協議

 筑後・柳川だけでなく、筑後6市議会を構成する八女市やみやま市などでも意見書提出の動きがある。

 八女市議会は8月3日午前中に会派代表者会議を開催し、意見書案について協議する。元議長でもある川口誠二議会運営委員長は、「八女市は議長経験者が地元県議であり、無関係とはいえない」「意見書の内容は筑後6市議会で統一した内容が望ましい」と語った。また、一部で指摘される労組と自民の癒着については、「九州の自立を考える会の副会長を元県議の吉村敏男さんがされていて、蔵内さんとの交渉役であったことは事実」と認めつつも、「金銭授受などはない」と否定した。川口氏は八女市職員労働組合出身で、自治労福岡県本部の組織内議員。

 八女市議の一部には「筑後や柳川と横並びでは主体性がない。海外出張だけでなく、正副議長の金銭授受問題も盛り込むべき」との声もある。

 筑後や八女の一部市議の間では、「真に県政の正常化が目的であればよいが、統一地方選挙を控えて政争の面がちらつく」との声もある。筑後・柳川両市議会の共通した意見書提出は、筑後市の弥吉治一郎議長が水面下で働きかけを行っており、何らかの思惑があると訝しむ向きもある。

当社の質問に「答える必要はない」と発言

 27日の筑後市議会において意見書を提出した弥吉議長は、議会後の記者会見で疑問を感じる発言をしていた。

意見書可決について語る弥吉治一郎筑後市議会議長
意見書可決について語る弥吉治一郎筑後市議会議長

 「県の行政機関も県議会も地に落ちている、そういう認識でございます」と述べた弥吉氏だが、地元民放の記者から、金銭授受を取り上げなかった理由を問われ、「公金支出ではなく、自分たちのお金のやり取りだから司法の場で判断されるべき」と回答した。視察経費だけでなく県議の議員報酬など税金からの支出であり、自身が公人であることを鑑みない発言であった。

 そこで、当社からオール与党の県議会体制に問題があるとの認識を述べたうえで、「県議会の海外出張問題は1年以上前から明らかになっていたのに、なぜこのタイミングなのか」と質問したところ、弥吉氏は「遅すぎるとか早すぎるとか答える必要はない」と回答した。「メディアの背後には国民・県民がいる。その発言は不適切ではないか」と指摘すると「このタイミングが一番良いと判断した」と返すのみで、金銭授受については「司法の場で決着をつけるべき」との考えを変えなかった。弥吉氏の言動には、当日参加していたほかのメディアの記者からも疑問の声が聞かれた。

 弥吉氏は、かつては日本社会党に所属していたが、前回(23年4月)の県議選では蔵内氏を応援した市議の1人であった。「イデオロギーから意見書を出したのではない」と語るものの、来年の県議選への新人の立候補表明が行われる29日の直前であり、近隣議会への同様の意見書提出の働きかけも含め、意見書自体には賛成しつつもその真意を慎重に見極めるべきだという声が、県南地域の保守系市議の間から聞かれる。

 服部誠太郎知事も含め、泥船となった蔵内体制から逃げ出し、あたかも被害者のように装う動きが各所に現れている。統一地方選挙を控え、有権者からの批判の矢面に立ちたくないそれぞれの思惑も交錯しており、政争ではなく、真の議会改革につながる新たな動きが生まれることが切に望まれる。

【近藤将勝】

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