沖縄県内の米軍基地周辺で有害な有機フッ素化合物(PFAS)が高濃度で検出。日本政府は無視!
NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。
今回は、9月18日付の記事を紹介する。
この問題を巡っては、在日米軍が2023年12月の日米協議で「嘉手納基地と普天間飛行場が汚染源の可能性が高い(消火訓練での泡消火剤使用が原因)」と認めていたにもかかわらず、日本政府がそれを非公表にしていた事実が、知事選終盤の9月8日に報道され大きな衝撃をもたらしました。
米軍側が「公表しても構わない」との見解を示していたにもかかわらず、日本政府(防衛省)がこの事実を封印し続けたのはなぜでしょうか。
第1の理由は日米地位協定の維持と米軍への配慮です。
米軍が汚染源だと公式に認めれば、沖縄県や住民が求める「基地内への立ち入り調査」を拒む法的な大義名分が崩れます。
日本政府は、基地の管理権を米軍に委ねる「日米地位協定」の枠組みを最優先に守り、米軍との摩擦を避けたいという強い意向、言い換えれば「米軍ファースト」の姿勢が働いた模様です。
第2は「責任追及(巨額のクリーンアップ費用)」の回避です。
汚染源が100%特定された場合、環境回復や周辺住民への健康調査、水道水のろ過といった巨額の対策費用の負担を「日米のどちらが負うべきか」という政治的・法的な大論争に発展します。
地位協定上、米軍に原状回復義務はないため、政府は事態の深刻化を防ぐために「因果関係は不明」と言い張り、問題を先送りしてきた側面が見え隠れします。
第3が安全保障(抑止力)への悪影響への懸念です。
高市政権下で「台湾有事への備え」や「第一列島線の防衛強化」が急務とされる中、米軍基地の環境汚染問題が大々的に取り上げられれば、日本国内、特に沖縄県内での「反米軍基地世論」が爆発的に高まります。
これにより共同防衛計画や基地の安定的運用に支障が出ることを、防衛省や官邸が警戒したに違いありません。
知事選直前に沖縄タイムスや朝日新聞がスクープし、本来であれば「オール沖縄(玉城デニー陣営)」にとって現政権を猛烈に批判する最大の武器になるはずでした。
しかし結果として、保守系の古謝玄太氏が圧勝し、この問題が選挙結果を覆す決定打にはなりませんでした。
その理由は以下のようなものと推察されます。
まずは、有権者の「諦め」と経済最優先へのシフトです。
これまで沖縄の有権者は、選挙や県民投票で「辺野古移設反対」などの意思を何度も示してきましたが、中央政府はその都度工事を強行してきました。
要は、「何を言っても変わらない」という無力感が県民の間に広がる中で、今回の選挙は「基地問題よりも、子供の貧困対策や物価高、鉄軌道の着工といった目先の経済振興・生活支援」に人々の関心が向いたためと思われます。
また、報道から投票日までの期間の短さも影響したかもしれません。
事実が発覚したのが9月8日、投票日が9月13日と、わずか5日前でした。
玉城陣営は「国の言いなりで県民の命を後回しにするな」と激しく訴えましたが、鈴木宗男氏らの工作による保守一本化の強固な組織戦のうねりを、短期間でひっくり返すだけの世論の爆発には至らなかったわけです。
とはいえ、選挙が終わった直後の9月14日、那覇市議会がこの政府の非公表に対して「全会一致」で抗議の意見書を可決するなど、地元・沖縄での怒りは党派を超えて現在進行形で燃え広がっています。
選挙戦としては政権側の戦略(経済重視・一本化)によって封印された形となりましたが、健康被害に直結する水道水や土壌の汚染問題そのものは全く解決していないため、今後は古謝新知事に対しても「国にモノを言えるのか、県民の健康を守れるのか」という厳しい目が向けられることは必定でしょう。
著者:浜田和幸
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