反グローバリズム起点になる英国民EU離脱決定
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NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。植草氏は、英国のEU離脱を「グローバリズムの退潮の始まり」とし、「離脱派=外国人排斥派」という情報操作が行われていたなどと指摘している。
英国の主権者がEU離脱を決断した。僅差での決定であるが、民主主義のルールは討論の末に多数決で決定するというものである。僅差でも決定は決定である。参院選でも、僅差になる選挙区が多数出現する。このときの一票の重みは計り知れない。必ず選挙に行って投票しなければならない。
英国のEU離脱は、「グローバリズムの退潮の始まり」を意味する。「グローバリズム」とは、強欲巨大資本が世界市場から収奪し尽くすためのスローガンである。「グローバリズム」によって利益を得るのは強欲巨大資本であって、市民は被害者になる。「商品を安価に入手できる」ことで市民は騙されてしまいやすいが、「商品を安く入手できる」背後に、資本による市民=労働者からの収奪=搾取がある。「商品を安く入手できる」市民自身が搾取の対象になることを忘れてはならない。
英国のEU離脱を決定したのは英国の主権者である。この問題の論議に際して、残留を主張していた中心は資本家である。資本の利益を追求する者がEU残留を求めた。しかし、英国の主権者はEUからの離脱を求めた。EU離脱を求める理由として「移民の増加」が例示され、「移民の増加を嫌うEU離脱派は外国人排斥派である」とのレッテル貼りが横行した。これは、グローバリズムを推進する強欲巨大資本による情報操作である。
EU離脱の根本精神には、「自国のことは自国の主権者が決める」という民族自決の原則の尊重がある。第2次大戦後に世界中で広がった国家の独立は、「自国のことは自国の主権者が決める」というものだった。この考え方が、正当に、そして当然の主張として、表面化しているに過ぎない。EU離脱派が「他国人排斥者」であると決めつけるのはあまりにも短絡的である。
安倍政権が国民を欺いて参加しようとしているTPPは、「日本のことを日本の主権者が決められなくなる条約」である。TPPがもたらすものは、「日本のことを強欲巨大資本=多国籍企業が決める」という多国籍企業主権体制である。日本の主権者が賢明であるなら、こんな国家主権、国民主権を放棄する条約に加入するなどという選択はあり得ない。
欧州ではこれから、ギリシャのユーロ離脱、南欧諸国のユーロ離脱などの動きが活発化するだろう。デンマークやオランダでも、自国の独立を重視する主張が勢いを増すことになる。英国のEU離脱は、多国籍企業=強欲巨大資本による政界制覇戦略に対する、主権者の反攻の開始を意味する極めて意義深い決定である。世界は大資本のために存在しているのではない。
世界は、世界に生きる、それぞれの地域の、それぞれの人々のために存在する。それぞれの地域の人々が、それぞれの地域のことを、自分たちで決めようとするのは当然のことだ。多国籍企業が世界を支配する正当性など、どこにも存在しない。
※続きは6月24日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1469号「英国EU離脱決定で安倍政権経済環境急変」で。
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