グリーンレジリエンスで減災~国土強靭化に必要な自然資源(前)
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かつて「コンクリートから人へ」を民主党政権は打ち出したが、現在進行形で脅威を増している自然災害に対する防衛には、「コンクリートだけでなく自然資源も」といったスローガンがぴったりだろう。それがまさに「グリーンレジリエンス」であり、建設業界が地域経済の活性化に貢献できるヒントがありそうだ。
日本列島改造から国土強靭化へ
5月12日に東京都千代田区の砂防会館で「グリーンレジリエンスシンポジウム」(主催:(財)レジリエンスジャパン推進協議会)が行われ、多くの聴衆が詰めかけた。「グリーンレジリエンス」とは自然資源を活用した「国土強靭化」のことだが、その説明に移る前に、まずは「国土強靭化」についておさらいする必要があるだろう。
奇しくも今、巷で話題となっている田中角栄元首相が1972年に日本列島改造」をぶち上げ、新幹線や高速道路など日本に多くのストック資産をもたらした。高度経済成長で建設業界も活況を呈するわけだが、光あれば闇もある。建設会社を通じた政治家の汚職や、業者間で公共工事の価格を決める談合などが世間から批判を浴び、「公共工事=税金の無駄遣い」という構図が生まれてしまったのだ。
加えてリーマン・ショックに代表される経済悪化も重なって建設業界は不況となり、市場規模が半分近くに縮小していった。
そんななか、京都大学の藤井聡教授が提唱した「国土強靭化」が東日本大震災を契機に注目を浴びだした。自然災害が活発化するなか、公共投資の増加でインフラの老朽化による防災面での不安を解消するだけではなく、デフレ脱却を目指そうという発想は、後に訪れるアベノミクスとの親和性も比較的高かった。
2014年にはレジリエンスジャパン推進協議会が設立され、自民党政権下で国土強靭化が政策として本格化していった。住宅、スマートコミュニティ、交通・物流、自然災害などに関する14のワーキンググループが設置され、そのなかの1つに「グリーンレジリエンス」(自然資本活用型次世代インフラ整備促進)が誕生した。
(つづく)
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