参院選福岡選挙区、得票率の差に見る小選挙区事情
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古賀氏が42市区町村でトップ
7月10日に投開票が行われた参議院議員選挙。福岡選挙区では、民進党・新人の古賀之士氏(57)、自民党・現職の大家敏志氏(48)、公明党・新人の高瀬弘美氏(34)が当選した。古賀氏は福岡県72市区町村のうち42でトップの得票数。ただし、その内容には顕著な地域差が見られた。「改憲勢力3分の2以上の議席を得たことで自信をつけた安倍首相は総選挙に踏み切るだろう」(民進党関係者)という声もある。今回の結果は、次の衆院選における立候補希望者の中間成績発表としても見られている。
福岡県選挙管理委員会が発表した福岡選挙区選出議員選挙における市区町村別の数値を衆院選の小選挙区別に整理した。立候補者と各市区町村の担当者(党支部長、地方議員など)が二人三脚で選挙活動を行う選挙区は、衆院選小選挙区の参考値になる。表には、トップ当選の民進・古賀氏と2番手の自民・大家氏の得票数と得票率の差を記入。括弧の数字は大家氏がリードした数値。4ポイント以上の差が付いたところは黄色で着色した。以下、ポイント差が大きい順に3つの小選挙区を解説する。
(1)漁夫の利が働いた福岡11区
最も古賀氏がリードしたのは福岡11区で得票率の差は4.61ポイント。なかでも京都郡は9.99ポイント、行橋市は8.20ポイントもリードした。同区選出の自民党・武田良太衆議院議員が関係の深い公明党への支援に動いたことで、結果的に古賀氏が〝漁夫の利〟を得るかたちとなったと見られている。表には記載していないが、田川郡では公明党の高瀬氏が得票数1万1,139票でトップだった。
(2)民進党県議奮闘の福岡4区
2番目に差が開いたのは福岡4区。とくに古賀市は、古賀氏が大家氏に8.14ポイントの差をつけている。この結果には、古賀市選出の田辺一城県議会議員の奮闘が大きく作用したものと思われる。同氏は、今回の参院選を安倍政権への信任投票と捉え、古賀氏のトップ当選にこだわり、古賀氏および民進党の支持拡大に努めた。
(3)衆院補選が近い福岡6区
鳩山邦夫氏の死去にともない、10月に補欠選挙が行われる予定の福岡6区。鳩山氏の後継争い、与野党激突の構図など、さまざまな点で注目の選挙となりそうだが、今回の選挙では民進党・古賀氏に軍配が上がり、11区中3番目に民進党のリードが大きかった。とくに古賀氏の出身地である久留米市では4.59ポイント、約6,000票の差をつけた。この勢いに乗じ、野党共闘などの条件も揃えば、補選でも善戦が見込めるはずだが・・・。
選挙区で争った今回の参院選とは違い、衆院選では自民と公明の選挙協力があるため、必ずしも民進党が次の衆院選福岡で躍進するわけではない。今回は、まず、古賀氏の地元民放アナとしての高い知名度が大きな勝因となった。依然として政党支持は自民党が最大。むしろ接戦となった小選挙区は、民進党候補者にとってかなり厳しい戦いが予想される。
【山下 康太】
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