高齢化都市・北九州の現実~花火のように飛散する遺産
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「北九州市は高齢化が進んでいる。高齢者だけで暮らす世帯も多く、子どもたちは関東、関西、福岡などで暮らしているケースが多い。ある銀行員と話したんだが・・・」北九州市で事業を営む経営者は銀行員から聞いた話としてこう切り出した。
北九州市は、市民全体に占める65歳以上の高齢者の割合が28.2%という全国トップの高齢化都市(2015年3月現在、北九州市発表)。北九州市は、若者が離れていく街でもある。働く世代が東京や大阪などの大都市で仕事と家族を持ち暮らすようになる。働く世代の全員が北九州を離れなくても、兄弟のうちの誰かは大都市で暮らすケースがとても多い。
北九州市で家族が亡くなった場合、全国各地で暮らす娘・息子が集まるのは、たいていが長期の休みの間となる。ゴールデンウィークやお盆、正月に北九州市の家に兄弟が集まり、相続の話をする。そして遺産をわけ、各々が暮らす街に帰っていく。何も北九州市に限った話ではないが、高齢化都市・北九州ではその頻度が多くなる。
「だから、その行員は、北九州市内の銀行の支店には長期の休みの前に相続用に備えて普段より多くの現金を支店に置いておくと言っていた。強盗するならお金が集まる長期休暇前がおススメだね」と、この経営者は冗談を言っていた。相続のために一時的にお金が集まり、すぐに全国各地に散っていく、高齢化都市の一幕を伝える話ではないだろうか。
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