脱原発、盛り返す!前委員長代理が『反乱』、鹿児島県知事は「一時停止を」(前)
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脱原発の動きが再び盛り返してきた。原発一時停止を掲げる知事が当選し、原発周辺自治体の首長が再稼働反対を表明し、原子力規制委員会前委員長代理が規制委の判断を否定したからだ。
参院選挙と同日投票の鹿児島県知事選で九州電力川内原発(薩摩川内市)の一時停止などを掲げた三反園訓氏が現職を破って当選し、玄海原発(佐賀県玄海町)をめぐっては同県伊万里の塚部芳和市長が再稼働を認めないと表明した。原子力規制委員会前委員長代理の島崎邦彦氏(東京大名誉教授)は、熊本地震の知見を踏まえて、関西電力大飯原発(福井県)周辺などの垂直か垂直に近い断層の場合、地震の揺れを発生させる断層の規模が過小評価されていると指摘し、原発の基準地震動の想定が根底から揺らいでいる。島崎氏と、規制委の田中俊一委員長との面談が、7月19日に行なわれる予定だ。
地震の揺れの想定「過小評価」、前委員長代理が批判
島崎氏の提起は、想定する地震の揺れ(基準地震動)の策定に使われる「入倉・三宅式」という計算手法では、垂直や垂直に近い断層の場合、著しく過小評価されるので、使用すべきではないというものだ。規制委員会が大飯原発の基準地震動を「武村式」という計算手法で再計算して「見直しは不要」と判断したのに対しても、再計算も過小評価だと批判する。島崎氏は7月15日に記者会見し、計算の設定が同じ条件ではないなどと批判して、簡易に推測した結果、「武村式」では約1550ガル(加速度の単位)となり、関西電力が計算した基準地震動の856ガルよりもかなり大きいのは間違いないと指摘している。
玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会(石丸初美代表)が7月2日、福岡市で開いた「提訴6周年活動報告会」の講演でも、熊本地震の経験を踏まえて、司法判断と基準地震動の問題がクローズアップされた。
冠木克彦弁護団長が、高浜原発の運転を差し止めた福井地裁決定(樋口決定)と高浜原発差し止め大津地裁決定の画期的な2つの判例と今後の展望について述べ、美浜、大飯、高浜原発に反対している「美浜の会」の小山英之代表が熊本地震を教訓とした原発の耐震性見直しの必要性についてそれぞれ指摘した。冠木弁護士は、樋口決定が、高浜原発の基準地震動を導き出すのに地震の平均像を基礎にして修正する方法に対し、平均像を元に策定する合理性がないとして信頼性を否定したと指摘。「安全基準としては、平均像ではなく、ばらつきを考慮しなければ、平均より大きな地震の揺れに耐えられない」と強調した。
小山氏は、「『入倉・三宅式』では(基準地震動が)過小評価になる」との島崎氏の見解を詳しく述べて、大飯原発だけの問題ではなく、川内原発でも「武村式」で再計算すべきだと指摘した。
また、熊本地震で動いた断層の長さが地震前の想定よりも7キロ伸びたとの島崎氏の現地調査を踏まえて、「川内原発近くの断層が現在の想定よりも伸びたらどうなるか考えないといけない」と指摘。熊本地震の教訓から、原発が連続して震度7の地震に見舞われても安全かどうかを検討し審査すべきだとも強く訴えた。とくに、放射性物質が外に出る事態につながる主蒸気系統の配管の伸縮式配管貫通部(ベローズ)などが繰り返される地震の揺れによって、疲労割れする恐れがあると警告した。(つづく)
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