【熊本地震】M7.3強襲!!記者が体験した被災地の真実(5)
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「もう大丈夫」が言えない
その後、市上下水道局は、水道管の破損箇所に関する目撃情報を市民に求めた。通水によって水が漏れ出た場所を見つけた場合、電話通報だと回線が混雑するため、極力、場所と状況がわかる写真を撮影し、メールに添付して送って欲しいという協力要請だった。約31万6,000世帯、約74万人に水を供給する水道が大ダメージを受けた。上下水道局の職員だけでは圧倒的にマンパワー不足だった。
水道の復旧はいつになるのかわからない。時間をかけて汲みに行く水は量に限界がある。トイレ用には、井戸水や川の水、バケツに溜めた雨水を用いるといった節水を心がけた。もともと熊本は「水の都」と言われるほど、水に恵まれた土地である。実家周辺にも井戸水をくみ出している家庭が2カ所、公園にも1カ所あった。ご近所で水を分け合い、飲食以外の生活用水として利用した。
しかしながら、家庭で風呂に入れるほどの水量はなく、水への不安は避難生活の大きなストレスとなった。水道復旧が進み、温浴施設が営業を再開し、無料サービスが実施された時は大渋滞が発生した。本震の翌日に復旧が囁かれた水道だったが、結局のところ、市内各域に水が通るようになるまで2週間以上を要した。
震災発生から2カ月が経っても嫌がらせのように余震が発生する。震度3以上の揺れになると、前震や本震で味わった恐怖がよみがえる。「もう大丈夫」の一言がなかなか言えないということも地震災害の特徴だ。これからもずっと地震の恐怖に苦しめられる人々は少なくはないだろう。私の母は、足の不調を感じて受診したところ、血栓ができていることが判明した。エコノミークラス症候群になる恐れがあるという。不自由な避難生活は、人の心と身体にダメージを与えていく。住まいの問題を含めて、避難生活を送る人々へのフォローが必要だ。
また、「まさか、熊本で地震が起きるとは!」という驚きの声を耳にする機会が多かったし、私自身もそのように思った。2005年3月20日に福岡県西方沖地震が発生した福岡のほうが、熊本よりも地震発生確率が高いという。これから先、地震はいつどこで起きてもおかしくはない。首都直下型地震、南海トラフ地震など、すでに可能性が指摘されている大地震もある。熊本地震の実例を教訓として、地震発生時に同じような行政の混乱、情報格差、支援格差が起きないように教訓として生かしてほしい。
(了)
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