舛添氏はボーナス丸取り、福岡市議3人は被災地に寄付
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盗人に追い銭と言うが、政治資金の私的流用疑惑で辞任した舛添要一前東京都知事が受け取った夏のボーナスは約381万円。さらに約2,200万円の退職金が支給されるという。舛添氏は返納の意志を示したとも伝えられるが、一連の疑惑への対応で国民の不信を買った今となっては、その真意も疑わしく思える。カネの問題で都民だけでなく、国民全体にまで政治不信を広げた舛添氏の責任は大きい。
一方、舛添氏の地元・福岡県には、対照的な政治家がいる。福岡市議会の福岡維新の会に所属する富永周行市議(南区)、冨永正博市議(東区)、天野浩市議(西区)の3人が6月30日に支給された夏のボーナスの全額計約400万円を熊本地震の被災者に義捐金として寄付したのだ。6月初めにおおさか維新の会の松井一郎代表と熊本地震被災者支援について話すなかでアイデアが生まれた。公職選挙法は自分の選挙区における寄付行為を禁じているが、寄付の相手が熊本地震の被災地であれば問題ない。個人の活動という位置づけから冨永周行市議は直接被災地に送り、冨永正博市議と天野市議の2人は福岡市の義捐金窓口となっている市民局を通して熊本県に寄付した。
議会ではすでに市議1人1万円と、議長交際費からの38万円を加えた100万円を寄付している。福岡維新の会は6月議会の代表者会議でさらに議員全員の夏のボーナス全額を義捐金に当てることを提案。30日の支給日までに結論が出なかったため、独自に寄付した。天野議員は「身を切る改革を標榜するなかで、政令市の議員としてほかの市町村よりも多額のボーナスをもらっていることに忸怩たる思いがあった」と、おおさか維新の会が訴える議員報酬削減を自ら実践することにしたとい天野議員は「議員報酬を引き下げても政治活動ができることを市民に証明することができる」と胸を張る。
舛添氏の「政治とカネ」の問題が引き起こした政治不信について、冨永正博は「かつて政治家が懐にカネを入れることに国民の怒りが高まっていたのは、裏を返せば(その実行力に対する)期待が残されていたから。しかし、舛添氏のいわゆる『せこい』カネの使い方に国民は呆れて、政治家を軽蔑するようになってしまった」と危機感を露わにする。政治への信頼を取り戻すには行動しかない。熊本への寄付は「被災地で被害の甚大さに衝撃を受け、自分に何ができるのかと考えた」(冨永正博市議)からだった。それでも全額寄付という決断は容易ではないだろう。舛添問題を連日報道して騒ぎ立てたマスコミは、なぜか3人の寄付を報じていない。地方都市の若き3人の市議の義挙にも関心を持ってもらいたいものである。
【平古場 豪】
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