脱原発、盛り返す!前委員長代理が『反乱』、鹿児島県知事は「一時停止を」(後)
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司法判断も、再稼働に大きな歯止めをかけている。
関西電力高浜原発3、4号機(福井県)の運転を差し止めた大津地裁決定の取り消しを求めた関西電力の異議は7月12日に退けられた。関西電力は不服として保全抗告を申し立てたが、大阪高裁での審理は通常数カ月から1年かかり、仮に地裁の判断が高裁で覆ったとしてもそれまで稼働することはできない。四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の再稼働が遅れており、全国で唯一稼働しているのが川内原発だけの状態がしばらく続く。基準地震動をめぐる疑問の声や司法判断に加えて、鹿児島県知事選での三反園氏の当選である。知事には原発を止める直接の権限はないが、九州電力には、知事や県民の意向を無視することなく、対話と納得を尊重する姿勢が求められる。
玄海原発裁判の会提訴6周年、あきらめず運動続ける
東京電力福島第一原発事故をきっかけに脱原発のうねりが広がり、いったんすべての原発が止まった。しかし、安倍政権のもとで、原発が再稼働し、原発をベースロード電源と位置づけたエネルギー政策や、老朽化原発の運転延長を認める判断が進められてきた。脱原発運動に、絶望感が漂いがちだったのは確かだ。
しかし、三反園知事の誕生や伊万里市長の発言――。草の根の市民運動は決して無力ではなかった。福島事故の前から運動を続けている市民運動の1つが、玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会だ。九州電力玄海原発3号機で、ウラン燃料にプルトニウムを混合したMOX燃料を使用するプルサーマル発電が行なわれるのに反対して、「まずはプルサーマルを止めよう」と2010年、佐賀地裁に提訴した。福島原発事故後の11年12月には、同原発1~4号機すべての運転差し止めを求めて同地裁に提訴した。
プルサーマル差し止めを求めた訴訟は、佐賀地裁での原告側敗訴に続いて、6月27日、福岡高裁の控訴審でも原告側が敗訴したが、同会と訴訟の果たした役割は大きい。福島の事故前から玄海原発の危険性を住民や県民に啓発し、脱原発運動という火を灯し続けてきたからだ。
7月2日に福岡市内で開いた提訴6周年活動報告会で、上告断念を確認した際、石丸初美代表は「全基差し止め訴訟には、3号機も(差し止め対象に)入っているので、引き続き危険性を裁判で訴えていく」と述べた。高裁判決を不当判決だと批判し、「あきらめたら、『原発栄えて国滅ぶ』の最悪の国に済まないといけないので、怒りをバネにします」と語っていた。活動報告会では、「社会一般の同意」として、原発を止めるだけの県民の同意があったか主体的な運動を強めようとの意見を交流した。7月16日には、計画的に行っているポスティング活動で、伊万里市内にチラシを配布しながら、市民と対話した。「再稼働前の今だから、できることを」と汗をかいている。
(了)
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