2024年11月27日( 水 )

在日コリアン侮蔑するヘイトビラ貼り男 建造物侵入罪で起訴~福岡地検

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sora3min 在日コリアンを侮蔑する内容のビラを貼るために福岡市の商業施設に侵入したとして、逮捕されていた福岡市南区の無職・越智和年容疑者(64)を、福岡地検は7月22日、建造物侵入罪で起訴し、同日、発表した。

 起訴状などによると、越智容疑者は、「在日コリアンの社会迷惑」として近年の犯罪事件を並べ立てる内容を手書きしてコピーしたビラ(A4版の大きさ)を貼る目的で、正当な理由がなく6月29日から同月30日までの間に6回にわたって福岡市・天神のパルコなどの商業施設トイレ6カ所に侵入し、1カ所1枚以上のビラを貼った。福岡地検は、越智容疑者の認否について明らかにしていない。

 福岡地検は発表にあたって、「本件侵入は、本邦外出身者に対する中傷ビラを貼付する目的で敢行されたものであり、ヘイトスピーチ対策法の趣旨にも照らし、起訴した」とコメントした。

 ヘイトビラ貼付目的の建造物侵入罪で起訴した事件の発表は、過去にあまり例がなく、発表にあたってヘイトスピーチ対策法にあえて言及したのも異例。ヘイトビラ貼付を許さないという、検察の断固たる姿勢を示したかたちだ。
 福岡地検の長谷透・次席検事は、ヘイトスピーチ対策法がなくても起訴された事案だとすると同時に、「本邦外出身者を侮蔑して排除する言動は許されないというのが対策法の趣旨であり、法の趣旨と、法ができた最近の社会情勢を重視した」と述べた。

 ヘイトスピーチ対策法(本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律)は、2016年5月24日成立し同年6月施行された。同対策法は、本邦外出身者であることを理由として社会から排除することをあおる不当な差別的言動は許されないと宣言。国などに、不当な差別的言動の解消に向けた取り組みに関する施策や、相談体制の整備、教育活動、差別的言動の解消の必要性を国民に周知する啓発活動などを求めている。差別的言動の禁止や罰則の定めはない。

【山本 弘之】

 

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