2024年11月27日( 水 )

小池氏圧勝も波乱は続くか~東京都知事選

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totyou1-min 7月31日に投開票された東京都知事選は、小池百合子氏(64)の圧勝に終わった。優勢が伝えられていたものの、2位の増田寛也氏(64)に100万票以上の大差をつけた結果には驚かざるを得ない。「せこい」と批判されて辞任した舛添要一氏の後任を選ぶ選挙だっただけに都民の関心も注目されたが、投票率は前回を13.59ポイント上回る59.73%と政治への期待が失われていないことが示された。時間がないなかでの選挙で、いち早く立候補を表明した小池氏に対し、告示直前に立候補表明した増田氏、野党統一候補の鳥越俊太郎氏(76)は準備不足が響いたと言えるだろう。

 今回の選挙では候補者にクリーンさが求められた。しかし、選挙戦は〝泥仕合〟になってしまったことは否めない。小池氏は自民党員でありながら都議会最大会派の自民党や党都連への批判を繰り返し、増田氏を支援する自民党も「小池氏を応援したら処分」との文書を出す始末。分裂選挙となり自民党支持者の票は割れた。共同通信の調査によると、自民支持層は51%が小池氏、40%が増田氏に投票したと回答している。公明支持層では71%が増田氏だ。前回の都知事選で自公の全面支援を受けた舛添氏の得票数は211万2,979票。小池氏にかなりの自民票が流れたとはいえ、増田氏も180万票近くを獲得している。それでも小池氏が圧勝できたのは、51%が支持したとされる無党派層の力が大きかったに違いない。

 鳥越氏は、週刊誌が報じた女性スキャンダルに足を引っ張られた感は否めない。記事の内容は選挙妨害や人権侵害と批判されたが、とくに女性は男性候補者の女性問題を嫌う。野党支持者であっても、心情的に同性である小池氏に投票した女性有権者も多かったのではないだろうか。鳥越氏が獲得したのは134万票。前回の都知事選で共産、社民に支持された宇都宮健児氏が98万票、旧民主、生活などが支援した細川護熙氏は95万票であり、単純にこれらを合算した203万票にも遠くおよばない。準備不足と女性スキャンダルを言い訳にしたとしても、やはり鳥越氏本人の力が足りなかったと言えるのではないか。参院選では大きな力を発揮した野党統一候補の動きも、見直されることになるだろう。

 政治資金の私的流用疑惑をきちんと説明しないまま辞めた舛添氏に対する、都民の怒りはまだ収まっていない。混乱した都政を立て直すならば、知事としての実績があり「実務型」とされる増田氏の方がふさわしいようにも思えるが、都民は「改革」を訴えた小池氏を選んだ。しかし、自民党員でありながら党を割ってしまった小池氏には、思わぬところから足をすくわれかねない危険性が残っている。小池氏が都政の混乱を収拾するために努力するにしても、しばらくは波乱含みの展開が続いていくことになるだろう。

【平古場 豪】

 

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