ミャンマー新政権始動!ビジネスチャンス到来(後)
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建設・ホテル業界の進出事例が示す成功へのヒント
コンクリート型枠製造を手がける(株)カシマ製作所(福岡県飯塚市)代表の鹿島克介氏は、「日本の大企業の慎重さが、中小企業にとっては有利に働く」と指摘する。13年に初めてミャンマーを訪れて以来、今回で6度目の訪問となる同氏は、ビジネスの交渉で訪れた。現地の中堅ゼネコンとパイプをつくり、関係を構築。当初は中古工作機械の輸出要請があったが、現在は鉄骨型枠の技術者を有償で派遣することを検討中。それだけではビジネスとして旨味はないが、信頼関係を強固にすることで、将来的には設計図面に関与して受注につなげたいという考えだ。「ようやく、文化や考え方がわかってきた」と鹿島氏は語る。
ASEAN諸国では、たしかに日系大企業は意思決定の遅れにより、中国・韓国などの後塵を拝することが多かった。13年に視察した際も、ヤンゴンの経営者たちから視察ばかりで進出をしない日本企業に対し、期待と苛立ちの声が上がっていた。こうしたなかで、昨年11月にオープンした「スーパーホテルミャンマー・ヤンゴン・ガバエロード」は、日本企業の本気度を示す。地上14階建てで、シングル44室、ツイン24室、その他20室。(株)スーパーホテル(本社・大阪市西区)は、日本でビジネスホテルを112店舗展開しており、海外は4店舗目。「ヤンゴン・ガバエロード」は、国際空港と市内中心部の間に位置する。
トイレにはウォシュレットが設置され、最上階には露店風呂付大浴場がある。現地スタッフによると稼働率は約85%。そのうち日本人が75%を占める。1階に入居する飲食店も居酒屋スタイルで夜中まで日本人客でにぎわっていた。
「YAMA DOMITORY」は1部屋に複数のベッドを設置するドミトリースタイルで、バックパッカーが主なターゲット。ヤンゴンのダウンタウンの好立地に位置しており、ここを拠点に市内外の観光へ訪れる客が多い。外国人のリピーターが多いのが特徴だ。日本人投資家とシンガポール企業が合弁企業を設立して進出。もともとあったホテルを改装してオープンした。稼働率は30~90%とバラつきがあるが、平均すると60%。ドミトリーとしては充実した設備や清潔さで人気が高いが、ヤンゴン中心部には昨年複数のホテルが建設され、競合が激しくなる気配を見せている。1996年、ミャンマーで旅行会社を足がかりに、企業向け研修や労務コンサル、日本語学校などを運営する河野洋子氏は、「私はすでに地元企業として受け入れていただいています。政治的に困難な時代を経験したミャンマーの人々のなかで日系企業が成功するには、日本人にしかできないことの実践だと思います」と語る。河野氏のような表裏を熟知したパートナー選びが、成功への道筋を照らす。
散見される福岡とミャンマーの縁
北九州市門司区には国内唯一の本格的ミャンマー式寺院「世界平和パゴタ」がある。58年に建立されたものの、運営難で2011年12月に一時休館した。ミャンマーで活動するNPO法人アジアケシ転作支援機構(宮城県仙台市)の我妻豊理事長の協力により、12年8月に2名のミャンマー人僧侶を迎えて再開。14年5月に同寺院で行われた建立以来初の「パターン祭・供養会」(5日間計96時間、世界平和と人々の幸福と安寧を祈る行事)に際しては、石橋氏ら福岡の経営者が来日したミャンマー人僧侶20名の送迎などで協力。今年3月末より新たに2名のミャンマー人僧侶が赴任した。
13年、ヤンゴン視察の際、大雨により道路に水が溢れたことがあったが、16年3月の視察ではそうした事態には遭遇することはなかった。状況が改善されつつあることが伺われる。これに福岡市の職員が貢献している。福岡市は12年から国際協力企業(JICA)を通じて上下水道部門の専門家をヤンゴン市に派遣し水道管理の指導を行っている。昨年5月にはODA案件を官民連携で受注することに成功。今後地場企業進出の呼び水になることが期待される。
(了)
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