創業100周年を機に組織力強化を(後)
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有澤建設(株)
肌で感じる社員の変化
人材育成に取り組むうちに、社員の変化にも気付くようになったと木下社長。最初は工務でも事務でも営業でも共通だったというが、自分に与えられた仕事の結果以外に関心の薄かった若者が少しずつ変わってきた。自分の結果を見つめること以外にも年下の社員を育てていこうという空気を感じる。このような良い空気を増やしていくことが経営陣の役目である。
「組織として、成長を感じる」。こう話す木下社長は組織の成長を次のように挙げる。まず、受注に関しては圧倒的にリピーターが多くなってきたことである。当然、品質や技術の確かさが認められて、再び声がかかる。リピーターの増加は顧客満足度の高まり以外にはない。さらに、今期は過去最高の売上高を更新する見込みであること。そして何よりも社長自身がこれまで目の行き届かなかったところを見渡す余裕ができていることだ。営業に対してもそれほど多くを指示することがなくなってきた。営業会議においても、こちらの質問に対し、即座に的確な答えが返ってくるようになっている。
木下社長は「あくまで企業としての評価は周りが行うもの。自社のことを冷静に測ることは難しい。それでも、自社の成長は感じ取ることができている。この自信が有澤建設の今をつくっている」と力強く語った。育まれるリーダーとしての資質
100年の中にも節目に歴史があり、同社には住宅建築の技術が脈々と受け継がれている。そのようななか、木下社長は「これまで同族で経営されてきた会社を真の意味で『会社』にしたい」と強調する。会社は永続的なものであり、身内だけのものではなく、社員たちのものでもある。後継者は社員の中から選び、頑張った者、実力のある者が経営者になれる組織にしたいとしている。社長自身のこれまでの経験とこれからあるべき組織の姿を考慮し、リーダー像をつくっている。
「プロパー社長をつくり上げて、会社経営を2、3年しかしないということでは、本人もおもしろくない。5年10年は経営者として、社長業を全うしてほしい」(木下社長)。自身は身内で、10年ほどは経営者としての下積みをしてきた。今の社員にはその下積みがなく、さらに身内でなければ社長になる意識も薄い。そう考えると、なるべく早く経験してほしいというのが本音である。この先、同族会社としてではなく、実力があるリーダーが会社を引っ張っていくという組織にしたいのである。自身が社長になる前から、幹部候補を対象にリーダー研修を行ってきた。本当に効果が出てきたと感じるようになったのは社長に就任してからだ。ここ2、3年ぐらいで本当の意味で、リーダー研修の効果が上がってきたという。そんな幹部候補生を集めた社長研修は役割を終えた。自身も社内の人間であることに変わりがなく、客観視することには限界がある。1年以上続いた研修で、参加者の変化と成長を感じることができたからだ。部下を育てることに注力し、候補生のさらなる成長を求めるなら、外部講師を招き客観的に指導できる場にした方が良いと、今、研修に社長自身は関わらず、かたちを変え継続している。
「自身が年を重ねながら、幹部を育てる。そして、今の幹部候補がさらに下を引き上げる。今の若手が未来の新入社員を引き上げる。この循環を絶やしてはならない」(木下社長)。この循環が続く限り、企業は永続していく。(了)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:木下 英資
所在地:福岡市博多区博多駅南4-4-12(社屋建替えのため下記仮事務所)
現所在地:福岡市博多区博多駅南3-3-12 NYビル5F
設 立:1967年9月
資本金:9,000万円
TEL:092-433-1811
URL:http://www.arisawa.jp<プロフィール>
木下 英資
1971年福岡県生まれ。95年に早稲田大学を卒業後、西日本旅客鉄道(株)(JR西日本)に入社。01年、同社を退職し、有澤建設(株)に取締役社長室長として、入社。05年に常務取締役などを経て、10年代表取締役社長に就任した。法人名
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