「奥田ふみよ」を忘れないでよ

前回取り上げた中田優子さんだけではない。参議院比例代表(全国区)にて、生粋の博多出身の奥田ふみよ氏がれいわ新選組で当選していることを知る人は、関係者を除けば多くはないだろう。れいわ新選組で3人目の全国比例当選をはたしているのである。
1977年6月生まれであるから現在48歳である。学歴は福岡雙葉小学校、中学校、高等学校を経て武蔵野音楽大学卒。3児の母である。福岡雙葉学園の昔のイメージは「お嬢様学校」であった。昔とは50年前のことである(昭和30~40年代)。当時のOG談によると「高校卒の私たちの同級生のうち4分の1はお医者さんの奥さまになっていた」という。ふみよ参議院議員の雙葉学園在籍時代は非常に大衆的になっていた。
市民運動への関わりが政治活動のスタート
市民運動のきっかけは東日本大震災が発生した2011年3月からである。復興活動の遅れに対する日本政府の対応の遅さに激怒したそうだ。「国民の命を守る動きが鈍すぎる」と糾弾している最中に福島第一原発事故が発生した。「福島・東北の人たちが消えてしまう」という恐怖に圧倒された。この体験から「原発をすべてなくそう」という結論に達した。それから原発反対運動に関わるようになり「玄海原発再稼働差し止め」の活動にも注力してきた。
3児の母であったため教育現場での不条理な出来事にも精通していた。「全国カルト校則廃止プロジェクト」にも積極的に関与。ついに24年10月、衆議院選挙で福岡3区かられいわ新選組で立候補した。そして今回の参議院選挙比例代表にて「子どもを守れ!!腐れ政治を大掃除」のスローガンを掲げ、選挙活動に専念して当選をはたしたのである。
次は勝つ! 沖園リエ、闘志満々

沖園リエ氏については「次は勝つよ」と表現したが、同氏の最大の持ち味は「他人の10倍努力する」ことである。1974年8月生まれの51歳。90年友泉中学校卒、93年早良高校卒の「福岡ジゴロ」である。96年から司法書士事務所に就職した。この先の彼女の人生を他人は模倣できない。働きながら大学へ進学したのである。2011年福岡大学大学院商学研究科を修了して経営学修士を修めているのだ。働きながら大学院修士まで辿り着く苦労は並大抵ではない。学資を捻出しながら学びを貫くという信念を凡人は持ち合わせていない。体験を踏まえているからこそ優先政策に「奨学金すべて返済免除」を掲げている。さらに付け足すと(1)消費税は廃止(2)社会保険料を下げるという政策を掲げているのである。
世界観が奥深い
確かに23年4月に市民グループを立ち上げ、24年10月衆議院選挙において福岡2区で初めて立候補者として名乗りを上げたが、落選した。しかし、挫ける様子をまったく見せない。どうして意気消沈しないのか。それは彼女の世界観が奥深いからである。世界変革、人類救済に莫大なエネルギーが必要であることを認識している。簡単には物事は進まない。覚悟がいることを悟っているから日和ることは絶対にあり得ないのである。
リエ氏の世界観の根幹の第一は人類の食を通じた健康問題である。現在の生業はオーガニック食品の消費者拡大活動だ。提携企業はオーガニック食品製造・商社である。この会社のオーナーは福岡地区の生協活動のリーダーの1人であった。30年以上前からオーガニック事業に着手した。いうなれば福岡の健康食品事業のパイオニアなのである。30年前にはこの分野の先進地域であるイギリス・ロンドンにビジネス移住をした。リエ氏には「人類にとって長寿・健康を保てるのは食に左右される」という哲学がある。また、リエ氏は「フードプランナー」としての活動家の一面も有しているのだ。
また世界平和に関しても造詣が深い。「イスラエルによるガザ地区でのパレスチナ人への殺害・圧迫を見逃すわけにはいかない」。また「もはやユダヤ人にはヒトラーによる犠牲者であったという免罪符はない。パレスチナ人を虐殺している現状で被害者面はできない」と明快に論ずる。「ガザ地区が現代世界矛盾の縮図」と論じる。機会があれば現地に飛んでいきたいそうである。
今回は2名の女性政治家を紹介した。(1)学歴主義、男性主義の政治世界を変革する女性政治家は使命感が既存の政治家と比較して格段に強い。(2)日本沈没、大衆の生活苦をストップしないと大変なことになるという認識と役割。(3)すべての意見・政策が生活に裏付けられたものである(上から目線ではなく、下からの的確な政策提案)。
前回登場の中田優子参議院議員を筆頭に、今回紹介した2名を含め、同類の女性政治家は今後、ますます増えてくるだろう。