【名門・筑女の異変】長谷川新理事長に職務停止の仮処分~無届けの疑いも浮上
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学校運営をめぐって笠信暁前理事長派と教職員が対立している学校法人 筑紫女学園。反前理事長派の理事を入れ替えた6月10日の理事会決議を無効として、卒業生の前理事2人が新理事長らの職務執行停止の仮処分を求めた申し立てに対し、福岡地裁は8月31日付で停止を認める決定を行った。新理事長側は決定を不服として、9月1日に異議を申し立てた。
既報(関連リンク参照)の通り、笠前理事長派は、6月10日の理事会で、新理事の選任について賛否同数の状況を作り、最終的に、議長である笠前理事長の議長決済権で賛成過半数という決議を行った。しかし、笠前理事長は、理事としても1票投じており、結果的に1人2票投じる形となっていた。福岡地裁は、過半数の賛同を得ずに決議しており、無効と判断した。登記上、6月21日付で新理事長に就任した(株)はせがわの元代表・長谷川裕一氏(現・同社相談役)だが、無効の決議で選ばれた理事が参加した理事会で選ばれたため、無効とされた。
一方、6月10日の理事会における理事の選任および長谷川氏の理事長選任について、私立学校法施行規則違反の疑いが浮上した。弊社取材班が、文部科学省に情報公開請求を行ったところ、6月10日の理事会で決定した(1)理事の退任就任(2)理事長の退任就任と、同21日の理事会で決定した理事長退任と就任にかかる報告書およびそれを証する書面(議事録または理事長添書)が、8月26日時点で同省に存在していないことが判明したのである。
同規則第13条第3項は、理事・監事の就任時には、その氏名と住所と年月日を、理事・監事の退任時と、理事(理事長を除く)が理事長の職務を代行するとき、理事長の職務を代理する理事が当該職務の代理をやめたときは、その氏名と年月日を、“遅滞なく”、文部科学大臣に届け出るよう求めている。
問題の理事会決議から2カ月が過ぎても、無届けの状況が続いていた。コンプライアンスを軽視する理事会に、はたして教育機関の運営ができるのだろうか。長谷川氏も理事の1人として運営に携わっていた笠前理事長時代には、不可解な忍者村跡地購入(約3億円)や、多くの生徒や卒業生に慕われる中高購買部の経営者に、高額の協賛金を要求するといった事実上の追い出し行為が行われており、教育の現場にも影響がおよんでいる。現在、学校に通う学生やその保護者のためにも、1日も早い正常化が望まれるところだ。
【山下 康太】
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