2024年11月05日( 火 )

「柔よく剛を制する」フローズン総合商社、挨拶と笑顔が絶えない社風で一致団結(後)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

(株)佐々木冷菓

柔道で基本の大切さ学ぶ

sasaki 同社を語るうえで、欠かせないのが柔道である。というのも、佐々木繁社長と裕二専務は柔道経験者。裕二専務は講道館柔道六段の腕前で、柔道の名門の天理高校で63kgと軽量だったが、春夏連覇した団体のメンバーとして活躍した。その後、天理大学に進学し全日本の強化選手に選ばれ、もっと大きな目標を目指したものの、甲状腺の病気で断念。卒業後、同社に入社した。

 佐々木社長らは「基本(理)、毎日の積み重ね、真剣に物事に取り組む姿勢の大切さ」を学び「自分を活かす術が必要」ということも経験した。柔道には「柔よく剛を制す」という言葉があるのと反対に、「剛よく柔を絶つ」という言葉がある。また、技の基礎となる教えに「崩し、作り、掛け」という理論がある。この根本は、講道館柔道の創始者・嘉納治五郎先生の「精力善用 自他共栄」の理念に基づく。その教えの下、新たに事業所を出す際は、いつも「佐々木冷菓はこの地域でお役に立てるだろうか」という思いから、「消費者の皆さまに喜んでいただけるだろうか?」「お得意先に必要とされ、貢献できるのだろうか?」「メーカーの皆さまに必要とされ、応援してもらえるのだろうか?」ということを自問してきた。

 たとえば福岡支店は、93年7月に鳥栖に福岡営業所を開設したのが始まりだが、開設当初は現在常務の百枝氏を筆頭に社員は4名で、スーパーやコンビニ、個人商店との取引からスタート。当時の社員は今と違い、配送業務を終えて帰社後に冷凍庫に入り、明日納品する商品の品出し、積み込み業務など何でも自分で行っていた。少ない人数で励まし助け合いながら新規の得意先開拓も行い、2002年4月に今の筑前町の福岡支店を新築落成。現在は社員・パート総数で約50名規模の支店となった。九州最大の激戦区の福岡でそれだけ事業規模を拡大できた背景には、柔道を学んだ「柔よく剛を制す」の教えがあった。『小さいから無理だ』ということを意識せず、「貢献できること、正しいことを毎日こつこつと一所懸命」の姿勢を積み重ねてきたからだ。

笑顔あふれる社内。人命救助も

 同社を訪問すると、従業員が心地良い挨拶を返してくれる。挨拶と笑顔の絶えない明るい社風は、同社が春と夏に福岡で開催する展示商談会の合間に行われる決起集会でも感じられる。年明けの賀詞交歓会も含め、取引先と同社スタッフが和気あいあいとしたなかで進められる。同社の共生の精神には、「消費者の皆様の満足はお得意先様お取引先様と共に、社会貢献は地元の皆様と共に、社業の発展は社員の幸せと共に」と、共に励み、共に栄える3つの精神を掲げている。

 同社を表すエピソードとして、14年1月の愛媛営業所での出来事がある。取引先の運送会社のドライバーが、準備室で作業中に突然倒れ、呼吸が止まった。そうしたなか、救急車が来るまでの間、営業所のスタッフが心臓マッサージなどの応急処置を行ったところ、一命を取り留めた。現在、そのドライバーは後遺症もなく、社会復帰している。同社スタッフの迅速な対応が、人命救助につながった。

 困ったことがあれば、みんなで助け合いながら仕事を進める。共に笑い、泣く。各事業所では家族ぐるみでクリスマスパーティーを行なったり、アットホームな雰囲気を大切にする。佐々木社長らが柔道を体得しているように、同社には武道および体育会系の社員らが顔を並べる。社員数はパートを含めて350名となった。スポーツマンシップに則り、企画力、行動力、そして思いやり。同社の社風から、躍進の理由が垣間見えた。

(了)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:佐々木 繁
所在地:長崎県北松浦郡佐々町小浦免1572-54
設 立:1987年1月
資本金:3,000万円
売上高:(15/11)約190億円
TEL:0956-40-1500
※採用担当:総務 田渕まで

<プロフィール>
sasaki_pr佐々木 繁
1958年4月、長崎県佐々町生まれ。長崎県立北松南高校(現・清峰高校)卒業後、佐々木商店に入社。2008年1月、同社代表取締役社長に就任。

 
(前)

関連キーワード

関連記事