【名門・筑女の異変】ホームページからも消えた理事長
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理事会の混乱の収拾メドつかず
福岡地裁から職務執行停止の仮処分命令を受けた長谷川裕一新理事長の選任から3カ月が経過した学校法人 筑紫女学園。いまだ混乱の収拾にメドはついていない。同法人の公式ホームページでは、9月に入るまで「理事長メッセージ」に添えられていた笠信暁前理事長の画像が名前とともに削除されたが、22日現在、新理事長の画像・名前は不記載。学校運営のトップである理事長が不在という異常事態を如実に物語っている。
今回の混乱は、前理事長・笠氏と、それを支持する(株)はせがわ元代表の長谷川裕一氏、九州電力(株)代表取締役会長・貫正義氏ら(以下、「笠派」)によって行われた強引な理事会運営が原因だ。「笠派」は、教職員側の意思を無視して行われた2度の学長選任と不透明な研修施設用地購入などが問題視され、「教職員の95%が反対派」と言われるほど、学内は圧倒的に不支持が多い状況を生み出した。その結果、理事会内でも反対派が多数派となり、少なくとも今年3月の時点で、笠氏は解任寸前まで追い詰められていた。
その状況を覆したのが、司法からも無効と判断された6月10日の理事会決議会である。この逆転劇は、お膳立てとして、笠理事長の独断による反対派理事1名(事務局長)の解雇があり、当日は病欠の反対派理事1名の委任状を無効とし、無理矢理、賛否同数の状況を作った。そのうえで、1度賛成票を投じていた笠氏が、さらに議長として2票目を「議長決裁権」として行使したのである。この決議で、反対派理事を一掃する新理事選任が行われた。福岡地裁は、病欠の理事1名を含め、理事総数の過半数に達していないと判断。決議自体を無効とした。
この一事をとっても、社会の未来を担う人材を育成する教育機関のトップとして相応しくないと言えるのではないだろうか。ご存知の通り、学校法人は税の優遇措置のほか、国や地方自治体から補助金を受ける立場である。理事長報酬にも我々の血税が流れ込んでいるのである。ルールもへったくれもない実に大人げないやり方を行使した人たちに、子どもたちの将来を任せていいのだろうか。
教育の現場は、筑女の伝統を重んじる教職員たちが、なんとか身勝手な連中の専横から守り続けているが、学校運営の事業計画策定など、適切な理事長のもとで行っていかなければいけない課題が山ほどある。しかも、来年には創立110周年。「今回の混乱で、どうするかもまともに話し合われていない」(学校関係者)という状況だ。引き続き、今後の動向に注視したい。
【山下 康太】
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