山口銀行の「支店長」自殺の真相に迫る~死を招いた定款変更(後)
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一般社団法人となった下関ゴルフ倶楽部は、早速クラブハウス建て替えの検討特別委員会を設置。委員長には同倶楽部理事の清原生郎関門港湾社長(安倍首相の有力支援者)。委員には伊藤昭男伊藤製鋼社長(安倍後援会会長)、林泰四郎山口合同ガス会長、川上泰男長府製作所会長(兼下関商工会議所会頭)、中谷正行下関市顧問弁護士らが就任。予定通り、現在地に600坪の2階建てクラブハウスを建て替えることを打ち出したのだ。
その答申を受けて、下関ゴルフ倶楽部は2014(平成26)年11月26日、臨時総会を開催。(1)クラブハウスの建替、(2)年会費を8万円から12万円への引き上げなどが賛成多数で承認されたが、この中で問題となったのは、既報の通り、総工費約12億円(追加工事含む)のクラブハウスの建て替えだったのだ。地元の事情通が、「坪180万円は一般のマンションの2倍以上の価格であり、今話題となっている豊洲市場同様にキナ臭い匂いを感じる」と小声で呟いたのが印象的だった。狂った筋書き
定款の担保提供の削除から始まる一連の流れは、まさに『クラブハウス建替ありき』で組まれていたのだ。しかし山口銀行豊浦支店長は、(1)返済財源のない融資は取り組まない。(2)定款を変更し、担保の差し入れができるようにするなどの姑息な方法での融資は、むしろ会員との摩擦が拡がるとして下関ゴルフ倶楽部へ融資することを拒否。行内外との板挟みの末に自殺を選択したと見られるが、銀行支店長としてのプライドを守るための、最後の抵抗だったといえるのだ。
死をもって山口銀行の不正融資を阻止した浦喜支店長。その行為が美化されることを恐れた山口銀行首脳は、行内に緘口令をしいているといわれる。
筋書きになかった支店長の死によって、計画の変更を余儀なくされた福田理事長(現山口FG会長兼山口銀行会長)は、手に負えなくなった理事長ポストを『大政奉還』と称して、中部哲二副理事長(兼林兼産業専務)に譲るしか道がなかったというのが真相だろう。
さらにその裏には、福田理事長のままであれば、下関ゴルフ倶楽部に対する融資は「利益相反行為」にあたるため、取締役会議の承認が必要となるが、中部哲二氏が理事長になれば、一般の融資となり問題はなくなるという事情もうかがえる。
問題のクラブハウスは9月3日に仮オープンしているが、残金約10億円の支払い期日は10月28日。はたして中部氏は理事長を引き受けるのか。それとも断るのか。残り1カ月の間にどのようなドラマが展開することになるのだろうか。(了)
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