「人は宝」を柱に好業績のコールセンター(後)
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(株)ヒューマンライフ
一方で、「経営についてもっと学びたい」という思いから福岡県中小企業家同友会に入会。やがて、学んだことをもとに経営指針を発表することになった。このとき、大きな転機を迎える。発表を地元の某銀行の支店長に聞いてもらおうと招待するが断られ、たまたま隣にあった山口銀行に飛び込んだ。趣旨を話すと支店長が快諾。発表内容に納得し、3,000万円の融資を取り付けることができた。
だが、安心するのは早かった。現場はお客さまからのクレームの山。そこで業務を検証してみると、朝から晩までの4,000本の電話に応対し、受注伝票の仕分処理に深夜12時過ぎまでかかっていることが判明した。中山社長は「理想ばかりを押し付けて、人を活かす経営ができていなかったのです」と当時を振り返る。
そこで、受注伝票の仕分処理だけを担当するチームをつくって問題を解決し、中山社長は事業の多角化に走った。しかし、会社に対する不平不満はなくならず、現場を任せていた社員が中山社長に行う報告は上辺だけのものとなっていた。実態は2カ月で40人が辞めるなど、混乱を極めていた。このとき、先輩経営者から「社員の気持ちや悩みに耳を傾けたことがあるのか」と問われ、はっとした。「40人が辞めたのは現場を見ていなかった社長の責任。社員に心から詫び、『もう一度会社をつくり直したい、力を貸してほしい』とお願いしました」。
その際、リーダー格の社員たちを責めることはしなかった。すると、「自分たちも間違っていた、再建は自分たちが中心にやりたい」と言って自分たちなりの経営指針書を作成してくれた。「7年前から社員自ら、会社の歴史や理念を自分たちでパートさんに伝える手づくり研修をやり始めています」と中山社長。
一方で、8年前から毎月20~30人、1人ひとりと面談をしている。会社に対する不満を聞き、問題点を洗い出して解決するためだ。こうして1〜2年もすると誰も不満はない」と言って、逆に会社を好きになってくれ、定着率が大幅に上がった。商品を売らず自分を売って信頼築く。コールセンターベースに、新事業も
同社の基本理念は、「Let’s live a full life(充実した人生を実現しよう)」。経営理念は「相互信頼」、ビジョンには「信頼溢れるコールセンター」を掲げる。会社がうまく機能するためには社内はもちろん、電話を受けるお客さまとの間でも信頼関係は重要だ。
注目したいのはスタッフ共通の応対マニュアルがないことだ。かつてトップ営業マンだったサラリーマン時代、中山社長は商品ではなく自分を売ることで営業のコツをつかみ、信用を得た。クライアントに人材が出せないときは正直に断り、その場しのぎをしなかったのだ。するとクライアントは人材がそろうまで待ってくれた。この体験から、信用は良い結果につながることを知った。
だから、委託を受けている商品を5年、10年と使い続けてもらうには商品を売り込むのではなく、自分を売り込み信用を築けと言っている。そのため、スタッフはそれぞれ独自のマニュアルを持っている。「1,000人のお客さまがいれば1,000通りの対応があるはず。電話口で応対するあなたたちから買いたいと思ってもらう応対をしてほしいと伝えています」。
こうした取り組みの結果、全国のお客さまから応対に感動したという声が毎日寄せられようになり、お礼の意味の贈物まで届くようになった。お礼の手紙や贈物などを届けたいと思われるぐらい、電話の応対が素晴らしいということだ。
現在、これまでに築いたコールセンターの基盤をもとに、これからの時代にも通用するコミュニケーションのあり方を模索している。「人は宝」はどっしり経営の真ん中に据える。同社が今後どんな展開を見せるか、注目したい。(了)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:中川 英敬
所在地:福岡市博多区博多駅東2-17-5 アークビル
設 立:1998年1月
資本金:1,000万円
TEL:092-482-8500
URL:http://www.human-life.co.jp<プロフィール>
中山 英敬
1957年、福岡県田川市生まれ。大学中退後、地場有力企業に入社。その後、98年に独立し(株)ヒューマンライフを創業する。2011年4月、福岡県中小企業家同友会代表理事に就任し、中小企業の経営者・後継者を多方面からサポートしている。関連キーワード
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