悲願の上場を果たしたJR九州、今後にきざす光と影
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10月25日、JR九州は東証一部上場を果たし、「完全民営化」を果たした。売り出しから30分以上も値がつかず、9時36分についた初値は3,100円。公開価格から計算した時価総額は4,600億円に上る。今年の新規上場企業ではLINE以来となる規模だ。青柳俊彦社長は東京と福岡で記者会見し、「(JR九州への)期待と評価を感じる」と胸を張った。
しかし鉄道会社としてのJR九州の未来に「期待と評価」をしている向きは、少ないのではないだろうか。2016年第一四半期の売上高をみると、本業である鉄道にかかわる収入は全体の40%に過ぎない。以下流通・外食(24.5%)駅ビル・不動産(11.7%)、建設(9.4%)などの非鉄道部門に対して、「期待と評価」がもたれているのである。現にJR九州は、LINE福岡が自社ビルを建設する予定だった土地を取得し、14階建てのホテル・オフィスが入る複合ビルの建設を計画している。
九州域内での不動産開発だけにはとどまらず、JR九州の幹部が新規開拓のために関西方面に出張を繰り返しているという情報もある。しかし当然ながら現地にはデベロッパーも存在し、厳しい競争にさらされるのは間違いない。青柳社長は「赤字路線の廃線はありえない」と強調したが、はたしてこの姿勢をどこまで貫けるか。
先に上場を果たしたJRグループ各社、ドル箱の東海道新幹線を抱えるJR東海、東京大都市圏に根を張るJR東日本、同じく阪神圏を地盤にするJR西日本に比べると、JR九州が拠って立つ北部九州はいかにも手狭。九州域外や海外にも進出すると意気軒高だが、「JR九州」の看板が通用しない場所でどれだけ戦えるか、むしろこれからがJR九州の正念場である。
【深水 央】
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