大丈夫か、韓国!?/パク・クネ政権、窮地に立つ/経済も急速に悪化
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「朴槿恵(パク・クネ)大統領が辞任したら?」
28日、韓国「ハンギョレ新聞」(韓国語版WEB)で、もっとも読まれた記事だ。保守紙「朝鮮日報」は25日、「大韓民国の国民であることが恥ずかしい」という異例の社説を掲げた。「ハンギョレ」社説のタイトルは「朴大統領は大統領の資格があるか」である。
左右の代表的新聞から集中砲火を浴びる韓国初の女性大統領。支持率は17%台に急落した。韓国は大丈夫か!?
なぜ、こんな事態になったか。それは朴大統領の個人的な秘密が暴露されたからだ。韓国のケーブルテレビ局「JTBC」が24日、大統領の40年来の友人とされる女性、崔順実(チェ・スンシル)氏のパソコンのファイルを入手し、その内容の一部を報じた。これで演説文や閣議の資料などを、彼女に流出させていたことがわかった。
朴大統領は翌25日、「国民の皆様に申し訳ない」と謝罪した。しかし、彼女が関与する財団に、青瓦台が圧力をかけて企業から多額の資金を提供させた疑惑も浮上した。彼女は大統領就任以来、最大の窮地に立たされているのである。
崔順実氏は「韓国のラスプーチン」という風評が絶えなかった疑惑の人物だ。駐韓米大使館の秘密報告にも、そういう表記が明記されている。産経新聞の加藤達也・ソウル支局長(当時)は、朴大統領がセウォル号事故の発生直後に、ある男性と密会していたという噂をコラムで書いた。この男性が、1998年から2004年まで、当時国会議員だった朴氏の個人秘書室長を務めていたチョン・ユンフェ氏だ。そして、このチョン・ユンフェ氏の元妻が、崔順実氏なのである。
つまり、彼女の周辺でずーっと囁かれた噂が、ここに来て、白日のもとにさらされたということだ。ここまで醜態をさらした国家元首も珍しい。私も朴大統領は、政界デビュー前から知っている。それだけに、何とも表現しがたい気分である。日本で言えば、皇室の中枢で起きたスキャンダルなのだ。非難の砲火が朴大統領に集中し、権威は地に堕ちた。事実上「死せる大統領」だ。
中央日報のキム・ジン論説委員が、厳しく指摘する。彼は優秀な青瓦台の担当記者だった。政権の事情に精通している。
「朴大統領は主要10カ国の最初の女性大統領だ。偉大な記録だ。朴正熙が、支持者が、国家が作ってくれた。ところが朴槿恵はむしろ傷を与えている。傷から流れる血は青瓦台の紅葉よりも赤い」
我々日本人は「破局」に備えた方がいい。韓国経済の苦境も、強まっている。
サムスン電子と現代自動車という「ビッグ2」の7-9月期は最悪だった。現代自動車の営業利益は昨年同期比で30%近く減少した1兆681億ウォン(約982億円)だった。2010年以降、最も小さい規模だ。サムスン電子の7-9月期営業利益(5兆2,000億ウォン)も前年同期に比べて30%ほど落ちた。韓国経済を支えてきた代表企業2社は、品質問題や労働組合のストライキなどで、実績悪化に苦しみ危機感が強まっている。「最善を望み、最悪にそなえよ」
26日に開かれた経済動向懇談会で、韓国銀行の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁が、英国のことわざを引用して、意味深長な話をした。傍点は「最悪に備えよ」につけられていた。
韓国経済がおかしいのは、すでに明らかだ。内需と輸出の不振、進まない構造調整、過度な家計負債……。四面楚歌に追いやられた韓国経済に「崔順実爆弾」まで炸裂した。韓国は大丈夫か!?<プロフィール>
下川 正晴(しもかわ・まさはる)
1949年鹿児島県生まれ。毎日新聞ソウル、バンコク支局長、論説委員、韓国外国語大学客員教授、大分県立芸術文化短期大学教授(マスメディア論、現代韓国論)を歴任。国民大学、檀国大学(ソウル)特別研究員。日本記者クラブ会員。
メールアドレス:simokawa@cba.att.ne.jp関連キーワード
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