ピンチをチャンスに変えた 飛躍の契機となった長崎での経験(前)
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ゼオライト(株)
ゼオライト(株)は、1969年11月の創業以来、「お客様に良い水を届ける」の一心で今日まで研鑽を積み、企業として発展してきた。しかし、その道程は決して順風満帆なものではなかった。今回、同社の苦難のときを知る、長崎県北食品流通団地協同組合理事長の松尾淳一氏に話を聞いた。
課題解決の一手と期待された逆浸透膜
「1994年8月1日から、翌年の3月6日まで、佐世保市では給水制限が実施されました。当時は、1日3時間しか水が使用できなかったんです。食品の衛生管理に、水は必要不可欠ですから、食品流通団地にとっては大打撃です。もう、(同団地内の)企業は全社倒産するのではないかと、本気で心配しました」(松尾氏)。
長崎県佐世保市を突如襲った異常渇水。同氏は、こうした非常時を迎えた際の備えとして、前々から井戸の設置を訴えていた。が、周囲からは「無駄な費用」として理解を得ることはできなかった。「みんなで協力し合い、容器に水を確保して、給水制限の時間帯はその確保した水で何とか凌ぐということをやっていましたが、それも初めだけでした。日が経つにつれ、その方法ではとても対応しきれなくなりました。そこで、井戸を掘ることになりました。忘れもしません、840mまで堀り進め、94年12月24日――クリスマスイブの日に、ついに掘り当てたんです」(松尾氏)。
井戸の設置に向けて行動を起こした同団地は、水源を掘り当てることに成功。だが、何と掘り当てて出てきたのは「温泉」だった。
「温泉にはさまざまな物質が溶在していますので、普通のろ過装置では、真水にはできません。どうしたものかと解決策を模索していたときに、ゼオライトさんが逆浸透膜(※)を提案してきてくれたのです」(松尾氏)。こうして、ゼオライトと契約を結んだ同団地。すでにハウステンボスでは海水を真水に変えるのに逆浸透膜装置が導入されていたこともあり、全面的にその装置を信頼していたと同氏は語る。
だが、実際に同技術を利用した装置を稼働させると、膜はすぐに詰まってしまった。膜を洗って使い、また洗って使うということを何度も繰り返す日々が続いた。当初、同装置のメンテナンスに関しては、3年に1度でいいと言われていた膜の交換だったが、実際には3カ月に1度交換しなければ使いものにならなくなるという事態に陥った。両者にとって想定外の出来事が起こったのだ。この現場には、今年8月1日にゼオライトの代表取締役社長に就任した嶋村謙志氏の姿もあった。「当時新人だった嶋村社長が、一生懸命対応してくれていたのを覚えています。しかし、状況は好転しませんでした。高額な膜を、何度も何度も交換し続けた結果、ゼオライトさんは倒産寸前にまで追い込まれてしまいました」(松尾氏)。
(つづく)
【代 源太朗】※逆浸透膜:1,000万分の1mmの超微細な網目を用いて、細菌ウイルス類は100%、塩分や農薬ヒ素、ダイオキシンなどの有害物質を95%以上除去可能。高純度で安全な水をつくることができる。
<COMPANY INFORMATION>
代 表:嶋村 謙志
所在地:福岡市博多区那珂5-1-11
設 立:1970年8月
資本金:9,000万円
業 種:逆浸透膜水処理プラント製造・管理
売上高:(16/7)28億7,310万円(見込み)法人名
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