2024年12月27日( 金 )

話題と人脈は足で稼ぐ、県外から呼び込む藤堂ママ流集客術(後)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

航空スタンドバー「リンドバーグ」
会員制クラブ「ロイヤルボックス」
藤堂 和子 氏

県外に広がる飲み屋のネットワーク

 藤堂ママ 私、福岡の方にもっと可愛がってもらわないかんと思うけど、やっぱり福岡は昔からあるお店が強いんですよ。私たちは新興だから県外を狙ったんです。リンドバーグのお客様の6割は県外なんですよ。ロイヤルボックスに関しては7割が県外かもしれない。だから県外に行くと私は結構有名なんです。飲み屋で。福岡じゃ、全然有名じゃないけど。

 ――福岡にも県外からたくさんの人が訪れます。

nakasu 藤堂ママ だから暇がないんです。東京や大阪の方たちは、うちを目当てに来ていますから。北海道から「明日7人行くよ」とか。そして、その後に「どこか紹介して」と頼まれたら、頑張っているママのところを紹介します。
 私は、ホステスさんも、もっと県外に行くべきだと思います。行ってどれだけ自分が知られているかを知らないと。競争してないわけですよ。たとえば、お客さまが高知に行って福岡の名刺を出したら、女の子から「福岡に行ったことないんですけど、藤堂ママのお店に行きたい」って話になります。私はそれだけ県外で売れているのかって驚きますが、テレビとか本とか載っているでしょ、だからそれでみんな知っているのかな。土曜日はね、本当は休みたいんだけど、休めないの。銀座、新地、それから名古屋、いろんなところのホステスさんやママが私に会いに来るんです。

 ――初めて会う人もいますか。

 藤堂ママ いますよ。そういうのが流行っているのかわかりませんが、銀座や新地の子は、とくに向こうが休みの土曜日に来ることが多いです。来た子たちには、必ず山笠の扇子を送っています。北海道から沖縄まで、大体、山笠の扇子を持っていたら私とつながっています。

 ――扇子の交流ってなんかおしゃれですよね。

 藤堂ママ センスがいいでしょ(笑)。本当に、嬉しいですよね。県外で、私、何にも知らないで飲みに行ってたら、「失礼ですけど中洲の藤堂ママじゃないですか」と声をかけられたり、「うわあ、良かった、会えた!」とか。ほかに「会いたい」っていうママも呼ばれて、みんなで飲んだり。銀座に行ったら11か12軒。1軒あたり10分とか、長いところで30分。私の早回りは有名ですよ。
 うちの女の子も今までのトータルで、ロイヤルボックスから30人ぐらい、銀座に働きに行きました。自分で選んだ店でも、私が紹介した店でも、「どこから来たの?」って、お客さんから聞かれるじゃないですか。それで「ロイヤルボックス、藤堂ママのところにいたの」と答えると、そこでまたつながったり。

 ――なるほど、そういうネットワークも広がっているわけですね。

 藤堂ママ 私はね、全国で一番、安心できるまちは福岡だと思っています。女性がとっつきやすくて気楽だし、安くて美味しいものが多い。飲み屋も新地とか、銀座みたいに高くない。普段、銀座で飲んでいる人から「安い」と喜んでもらえますし、そのほうが、私たちもサービスのし甲斐がありますよ。「安かろう悪かろう」はダメ。「高かろう良かろう」は当たり前。「安かろう良かろう」がお客さまにとってベストなんです。それを目指していかないといけません。だけど、その「安かろう」という基準が全国の地方都市によって違うんですよね。

 ――そういう基準を知るためにも県外に出ることが必要ですね。本日はありがとうございました。

(了)
【聞き手・文:長丘 萬月】

<プロフィール>
toudou_pr藤堂 和子(とうどう・かずこ)
1946年、福岡市生まれ。中洲の会員制クラブ「ロイヤルボックス」、老舗の航空スタンドバー「リンドバーグ」のママ・経営者。71年、「リンドバーグ」を先代の母親から受け継いで3代目ママに。90年代に「ロイヤルボックス」の経営を引き受け、中洲一のクラブとして成長させた。テレビ、ラジオへの出演のほか、コラム執筆、講演会など多方面で活躍中。

 
(前)

関連キーワード

関連記事