2024年12月28日( 土 )

即断即決で福岡の不動産業界に地歩を築く(前)~(株)地産開発

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 数々の大型案件を手がけ、その勢いに九州の不動産業界から注目が集まっているのが(株)地産開発だ。佐賀に基盤を置きながら、ここ数年は福岡に進出。迅速に物件を仕入れ、手離れよく売却。現在も同時並行で10件以上仕入れを手がけているという。藤崎文也社長は「周囲には若い経営者が増えてきたが、やはり自分は現場に立つほうが得意だ」と笑う。そのビジネス哲学を聞いた。

(聞き手:弊社代表・児玉 直)

速く仕入れて速く売る これが不動産業の秘訣

(株)地産開発 藤崎 文也 社長<

(株)地産開発 藤崎 文也 社長

 「不動産の仕事は、やはり福岡のような都市でやるのが刺激的ですね」と語るのは、佐賀に本拠を置く(株)地産開発の藤崎文也社長。福岡や東京と行き来しながら不動産に関連する仕事に携わっていた藤崎氏が、(株)地産開発を立ち上げたのは1988年のことだった。

 「もともとは宅地の造成からスタートしました。これまで7~800区画は造成しましたね。しかし、新築住宅を扱うハウスメーカーにはすでに強い関係を持っている不動産業者がいる。その結びつきに割って入るのは難しいことでしたから、ここは目標を変えてエンドユーザーに直接売ろうと考えました。それで、知名度を高めるためにも佐賀駅前に事務所を構えました。自社の社屋自体がそのまま広告になる、という狙いでしたね。これがうまくいった」。

 好調な滑り出しを見た同業者から「不動産取引だけでなく、建築まで手を出せば絶対もうかる」というアドバイスも多く受けたということだが、藤崎氏は決して建築には手を出さなかった。

 「建築までやるとなると、土地の取引が成立した後に建物を建てて、内装をやったり電気ガス水道を引いたりと、いろんな手間がかかるでしょう。ひとつの物件を手じまいするまでに時間がかかりすぎる。手元に物件を持っている時間が長ければ長いほどリスクになりますから。住宅はなるべく手持ちにしないようにしています。帳面上は資産としていい数字が出るように見えますし、家賃収入だってありますけど、実際はリスクを抱えているのと同じですから。物件は仕入れた原価に多少なりとも利益を乗せて売ること。これが原則です。ですから、物件を買うときには売るときの相場感、仕入れに必要な必要経費まで乗せた売価までを考えたうえで仕入れる。ここの売価の設定が、この商売で一番必要な勘どころだと思っています」。
 回転よく、スピーディに案件を仕入れ、手離れさせていく。これが藤崎氏の必勝法だ。

大都市圏福岡と、小都市佐賀の違いとは

 「佐賀よりも福岡のほうがやりやすい」と語った藤崎氏。では、佐賀での不動産取引はどのような環境で行われているのだろうか。

 「まず、商業地の売買を手がけるなら当然福岡がいい。とくに福岡市には福岡空港や博多港があり、物流拠点として大きなポテンシャルがあります。貨物や物資の集散地ですし、九州の玄関口として観光客やインバウンドの海外旅行客もやってくる。それを計算に入れた大規模商業施設にも可能性はあるでしょう。一方、佐賀ではやはり農地や住宅地がメインです。佐賀のような土地では、一番賢いのは公共事業や、それに関係する仕事をやっていくことですからね」。

 典型的な地方都市である佐賀にも、佐賀ならではの魅力がある。
 「それは福岡という大消費地が近くにあること。たとえば佐賀県と宮崎県は経済的な規模としてはほとんど変わりませんが、福岡が近くにあることで不動産の価値が出てくる。それだけ、佐賀には可能性があるということです」。

(つづく)
【深水 央】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:藤崎 文也
所在地:佐賀市駅南本町3-3
設 立:1988年6月
資本金:1,000万円
売上高:(16/3)13億1,400万円

 
(後)

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