2024年12月28日( 土 )

即断即決で福岡の不動産業界に地歩を築く(後)~(株)地産開発

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市況を見渡し的確な判断が必要

(株)地産開発 藤崎 文也 社長<

(株)地産開発 藤崎 文也 社長

 藤崎氏が(株)地産開発を立ち上げた88年は、バブル景気による地価高騰に日本全土が浮かれていた時期。同業者にはそのブームに乗って拡大を図った企業もあったが、藤崎氏は動じなかった。

 「私はこれまで2回のバブルを経験してきましたが、不動産業者が30社あれば、バブル後も生き残っているのは多くて10社。もともと不動産を業としていない会社の場合でも、バブルの時代は銀行に資金を貸し込まれて焚きつけられ、不動産に手を出して大変な目にあった会社がたくさんあったのは皆さんもご存じのとおりです。世間の景気や自社の景気がいいときほど、銀行のいうことを真に受けるだけではいけないと思いますよ」。

 80年代後半のバブル時代にはおよばないが、不動産業界はここ数年景気が上昇傾向にあるといえるだろう。しかし、藤崎氏は油断をしてはいけないと警鐘を鳴らす。

 「この勢いが続くのは、あと2年だと思っておけばいいでしょう。福岡のマンション事情は、そろそろ供給過多の局面に差し掛かってきました。近い将来に、大きな場面転換があるのは間違いない。それに、他の業界でも不動産の持ち方を変えようという動きが出てきています。これまで生命保険や損害保険の会社は不動産を入手して自社ビルを建て、堅実にテナント収入を得ていました。しかし最近、生保損保会社が自社の土地建物を売却するケースが増えている。私も仲介に入った物件がありましたが、どうも売却益は海外事業に投資するつもりらしい。地方都市に収益物件を持っていても、将来性に欠けるという考え方のようです。私としては仲介の実績が上がりますから願ったりかなったりですが、今の経済状況がどういうものかを考えるひとつの材料になるのではないでしょうか」。

 過去のバブルと現在の景気上昇局面とは違う、と考える藤崎氏。ほかにはどのような特徴があるのだろうか。

 「これまでと一番違うのは、東京とその他の全国各地がまったく違う動きをするようになったことでしょう。先ほどの生保損保会社もそうですが、東京は国内ではなく、海外の動きを注視し、海外と連動して動くようになりました。これを見誤ると、大やけどをする可能性もある。また一方で、福岡は交通インフラの整備が進み、国内有数のポテンシャルを持つ都市になりました。陸では九州新幹線で鹿児島、東海道新幹線で東京まで直結。海ではクルーズ船の寄港数が増加している博多港。そして空では福岡空港があります。陸海空すべてのインフラが整った福岡は、今後も有力な不動産市場であり続けると思います」。

(了)
【深水 央】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:藤崎 文也
所在地:佐賀市駅南本町3-3
設 立:1988年6月
資本金:1,000万円
売上高:(16/3)13億1,400万円

 
(前)

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