日露首脳会談~『宴のあと』大山鳴動し鼠一匹
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安倍晋三総理は15日、故郷の湯本温泉(山口県長門市)にある温泉旅館「大谷山荘」にロシアのプーチン大統領を招請。プーチン大統領の到着が遅れ、午後6時過ぎから始まった両首脳の会談は少人数会合でスタート。日本側は岸田文雄外相や世耕弘成ロシア経済分野協力相、ロシア側はラブロフ外相やシュワロフ第1副首相らが同席し、1時間半協議。その後両首脳は通訳のみを同席させて約1時間半にわたって領土問題について話し合い、さらに夕食を囲んで約2時間行われたといわれる。15日夜のテレビでは、NHKを始め多くの報道機関が「北方領土の返還」を取り上げた。「歯舞群島、色丹島の二島返還は難しいのでは」との論調が大勢を占めるなか、同じ番組に出演している一部の政治評論家は、安倍総理とプーチン大統領の仲の良さを強調。日ソ平和条約を締結するために、「歯舞・色丹の二島返還はあり得る」と発言。それを聞いて視聴者の多くも、ひょっとして「北方領土の返還はあるかも」との期待感を抱き、それがさらに報道合戦を過熱させたというのが真相ではないだろうか。
安倍総理は翌16日、プーチン大統領と首相官邸で2日目の会談を行い、北方四島での共同経済活動に関し、日露双方の法的立場を害さない「特別な制度」を創設するために具体的な協議を開始することで合意したと発表。この合意は、平和条約締結に向けた「重要な一歩になり得る」であり、その次のステップが「北方領土問題」との認識を示した。
また政府関係者も、発表されたプレス向け声明文に「択捉島、国後島、色丹島および歯舞群島における日本とロシアによる共同経済活動に関する協議を開始」と北方四島の名称が明記されており、「領土の帰属問題の対象が四島と暗示されたものだ。声明文はロシア側の譲歩だ」と語り、何とか辻褄を合わせようと苦しい弁明をしている。いずれにせよ、「歯舞・色丹の二島返還」の具体的な進展はなく、したたかなプーチン大統領に食い逃げされた格好での「特別な制度」の創設。「故郷で錦を飾ろう」とした安倍総理ではあったが、結果は『宴のあと』の福沢かづと同様、今は「大山(四島)鳴動し鼠一匹」の心境ではないだろうか。
【データ・マックス顧問 浜崎 裕治】
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