2024年12月23日( 月 )

学校法人に問われる経営陣の手腕 飛躍の年となるのか?

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明暗分かれた伝統校

混乱が続く学校法人 筑紫女学園

学校法人 筑紫女学園

 児童・生徒数の減少は全国的な課題だろう。そんななか、去年創立から100周年を迎えた西南学院は順調に在籍生徒数を伸ばしてきている。1916年に、アメリカ人の宣教師C・K・ドージャー氏によって福岡市初の男子の私立中学校として創立された。現在では保育所・幼稚園から小学校、中学、高校、大学・大学院を擁する総合学園へと発展。キリスト教の教えを基にグローバルな教育活動を行っている。開校当時はわずか104人の生徒と9人の教職員でスタートしたというが、現在の生徒数は一万人を超え、県内では高い人気を誇っている。101年目となる今年は更なる飛躍を目指し、その後の100年に向けて更なる発展を遂げるために教育活動を続けていくという。

 さて、2017年が節目となるのは西南学院だけではない。龍谷総合学園グループに属する筑紫女学園は、5月13日に創立110周年を迎える。同学園は創立者である水月哲英氏が浄土真宗の教えを建学の精神として、高等女学校を設立。開校当初の生徒数は139名だったという。県内の私立女子校の中では最大の生徒数を有する同学園だが、西南学院とは打って変わって生徒数減少の問題が深刻化してきているようだ。

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 西南学院グループと筑紫女学園グループの全在籍者数を比較すると上の通り。わずかではあるが西南学院グループは年々増加傾向、筑紫女学園グループは減少傾向にある。規模が違うとはいえ、大学院・大学・短期大学部・高校・中学・幼稚園を経営しながらその総数が5,000人足らずというのはいかがなものか。

取り残された筑女?

 同学園が情報公開している「事業活動収支差額比率(帰属収支差額比率)」によると、同学園の比率は「-0.5%」。近年の推移は表の通り。

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 収支差額とは帰属収入(学生生徒等納付金、補助金などの学校法人の負債とならない収入)から、消費支出(人件費、消耗品費などの支出)を差し引いたもの。その収支差額が帰属収入に占める割合が帰属収支差額比率となる。同比率は事業活動の成果を明らかにするためにあり、一年間の事業活動を行った結果の損益の状態を示す。

 この比率がプラスになるほど自己資金は充実していることとなり、経営に余裕があることになる。逆にいえば、この比率がマイナスになる場合は、当年度の事業活動で得た収入で、事業活動にかかった支出を賄うことができないということ。

 同学園は前途の通り「-0.5%」だ。11年度の「+5.8%」から減少の一途をたどっている。全国的に見て帰属収支差額がマイナスに陥っている学校法人は少なくないがそれでも、伝統校としてこの惨状は情けない。

 本来ならば経営の抜本的対策を取らねばならないところだが、これまでも報じてきた通り理事会すら正常に稼働していない状態。今年110周年を迎える筑紫女学園だが、その歴史を繋ぐことは出来るのか。

 「酉」年は飛躍する一年になると言われている。内輪モメしているうちに筑女が周りに取り残されなければいいが。

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