2024年12月19日( 木 )

中国経済新聞に学ぶ~中国人「日本不動産の爆買い」が終了

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money_china-min 中国人民銀行が1月7日に発表した最新のデータによれば、昨年12月末の中国外貨貯蓄規模は3兆105億ドルで、11月末に比べて410億ドル、1.3%減少している。これは去年の7月から連続6カ月の外貨貯蓄額縮小だが、いまだに3兆円のラインは守っている。また、2016年の外貨貯蓄は1年を通して3,198億ドル、9.6%まで減少している。多くの評論では、中国の外貨貯蓄に危機が迫っており、警戒ラインに近いとされている。

 14年第二期末、中国の外貨貯蓄規模は3.99兆ドルになり、4兆の大台に肉薄していた。これは世界の外貨貯蓄の3分の1であり、他国を圧倒していた。しかしこの後、勢いは突然停滞――どころか逆転してしまった。2年もかからずに、中国の外貨貯蓄は9,400億ドル、25%も減少してしまったのだ。

 中国の外貨貯蓄はなぜ大幅に減少したのか?

 その最大の原因は、やはり外貨貯蓄によるアメリカ国債の購入に損失が出たことだろう。アメリカ財政部が昨年11月に公布した最新のデータでは、中国は9月時点で1.16兆ドルのアメリカ国債を保有しており、アメリカ国債における最大の外国保持者となっている。しかし、昨年11月にアメリカ国債の価格が大幅に下落し、中国が外貨貯蓄で購入したアメリカ長期国債の損失は非常に顕著であるという。

 別の要因として、輸出低迷の継続と外国企業の中国に対する直接投資の減速による外貨収入の減少が挙げられる。
 今年、人民元のドルに対するレートの下落は、累計で6%におよぶ。ドルの値上がりが顕著なため、人民元に大幅な値下がりが発生し、多くの中国企業・個人が外貨資産を選択している。このような「民間の隠し貯金」のために、多額の外貨貯蓄が消費された。

 中国人民銀行は3兆ドルを中国外貨貯蓄の安全ラインとみて、人民元のさらなる下落を防止している。この安全ラインを守るため、外貨貯蓄のさらなる海外流出を防ぐため、中国人民銀行および国有商業銀行は統一の制限措置をとっている。

 ある外資系商社の幹部によれば、「中国で、人民元で決算した収益をドルや日本円に換えて海外送金する業務は基本的に停止されているし、配当金がもらえないこともある」という。人民元は中国国内でのみ再投資可能、または社員へ人民元の給料を支払うための経費となり、海外に送金できないのだ。こうなると企業の株主や投資者にとっては、中国市場への参入は何のメリットもないことになる。

 また、中国で広く普及している銀聯カードの、海外での使用額に制限がついた。以前は三井住友、みずほ銀行、セブン銀行などのATMで、銀聯カード1枚につき1日当たり1万元(約17万円)の日本円を下すことができた。しかし去年の11月から5万円に変更され、今年1月には銀聯カードを利用した日本での現金引き出しはできなくなっている。

china 中国人民銀行(中央銀行)の本来の規定では、中国公民は1年間に5万ドル(約570万円)までの外貨を購入できることになっていた。今年になってもこの政策は変更されていないが、中国人民銀行は1月2日に「金融機関の高額取引および不審な取引の報告管理方法」を交付し、今年7月1日から実施すると発表した。
 この管理方法では、中国国内での「高額現金取引」の基準が従来の20万元から5万元(850万円)にまで引き下げられている。つまり個人が銀行で5万元を振り込んだ場合、銀行は監督機構に報告しなければならないということだ。企業の高額振り込み取引は、200万人民元以上、外貨は20万ドル相当以上であれば報告の義務が生じる。「管理方法」ではさらに、マネーロンダリングを行っている顧客を金融機関が発見した、またはその疑いを持っている場合、取引金額に関わらず、5日以内に監督機構に「不審な取引の報告」を行うように規定している。
 中国人民銀行のこの規定は、主にマネーロンダリング、とくに地下銀行から海外への送金を防ぐためのものである。

 今年の初め、中国経済新聞の記者は、携帯のネットバンキングでも、あるいは銀行の窓口で外貨を購入する場合でも、去年は不要だった「個人外貨購入申請書」を書かなければいけないことに気づいた。
 申請書ではこのように規定されている。
 <国内の個人が外貨を購入する際、国外での不動産購入、証券投資、保険の購入及び投資的性質を持つ保険など、開放されていない資本プロジェクトに使用してはならない。同時に、他人(家族を含む)の代わりに外貨を購入してはならない>。
 違反者はブラックリストに入り、その年およびその後2年間、外貨の購入ができなくなる。

 同時に、「外貨管理条例」の規定に基づき、中国の個人または企業が規定に違反して海外に資金を移した場合、外貨管理局は期限内に資金を国内に戻させ、さらに資金総額の30%以下の罰金を課し、悪質な場合は刑事責任も問うという。
 中国政府のこの新しい規定は、中国人および企業が外貨を気軽に海外へ持ち出せない状況を招いた。一方で、富裕層が「投資移民」のルートで中国を脱出するのを困難にし、もう一方で、中国人が海外で不動産を購入するのがより困難になっている。

 今まで中国人が日本で不動産を購入するための資金は、主に2つのルートから日本に入っていた。個人での購入なら、大多数は家族がそれぞれ外貨を購入し、何度かに分けて日本へ持ってくる方法だ。もう1つのルートは、香港、マカオ、台湾の地下銀行を通して日本の銀行口座へ移すものだ。新しい外貨管理方法では、5万元を超える資金の移動は監督を受けてしまい、また外貨購入の罰則措置も拡大されるため、中国人が外貨を得るルートが阻まれてしまう。同時に家族が外貨を購入しても監督を受けるため、中国人の海外不動産購入は困難を極めるだろう。

 2016年、中国人は日本不動産市場の最大の顧客となった。とくに東京、横浜、大阪、京都などの大都市のマンションが中国人により大量購入されていた。しかし、中国の外貨管理の強化にともなって、中国人による「日本不動産爆買い」も終わろうとしている。


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