2024年12月23日( 月 )

神山町疑惑の業者選定 「奇跡の町」に恥じぬ行政を

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yakuba 「地方創生・奇跡の町」徳島県神山町で判明した、公共事業の随意契約とその不明朗な業者選定。観光名所「神山温泉」の経営診断事業をめぐり、業者決定寸前で始まった地元紙の報道。反響は大きく、町は福岡の幽霊会社「カーディナリス」と契約をしないと決めた。

 「神山温泉経営診断事業」を担当するのは神山町産業観光課。本来、同課が事業を主導していく立場にあるが、同課への取材に際し、明らかになったのは、町幹部が事業の推進を「神山つなぐ公社」の理事に依存している実態であった。

 産業観光課に、疑惑の業者選定について尋ねた時だ。


 ――(カーディナリスの)井上氏は何度か神山町を訪問したと聞いている。

担当者 何度か来られたようだが、一度もお会いしたことはない。町幹部や公社の理事とは会っているようだが。

 ――しかし、担当課は産業観光課のはず。そちらが主導する立場にあると思うが。

 担当者 お恥ずかしい話、その件については、情報が降りてきていない。新聞報道で初めて知ったこともある。

 ――公共事業を町長ら幹部と公社が主導しているということか。

 担当者 それもよくわからない。

 ――明後日、この件に関し、町議を集め会議が開かれると聞いているが、間違いないか。

 担当者 開かれるのは事実だが、その内容はうち(産業観光課)でも把握できていない。町長から内容含む文書が来ていない。


 あくまで公社は町に助言をする組織だ。本庁である町役場が主導しなければ、組織としては、機能していないのと同じだ。驚くほど、町幹部と職員との情報共有がなされていなかった。今回の業者選定は明らかに透明性を欠いている。

 その後、報道の影響を重く見た町長は町議らを集め、カーディナリスを業務委託先としないことを報告。今回の産業観光課への取材はこの報告の直前だったが、それら情報は共有されていなかった。

 今回の一連の騒動は、町幹部が公社理事を信用しきっていたことが背景にある。一方で、それを公社理事が利用しようとしたとも映る。町長は一連の騒動発生については謝罪したが、業者選定にかかわる経緯を明らかにしていない。「地方創生・奇跡の町」と呼ばれる神山町だが、町を支えるべき組織の中枢はこの有様。たかが300万円の公共事業として、済ましていいものではない。今一度、それぞれの役目に立ち返り、町主導で事業を見直すべきである。

kamiyama siki

【東城 洋平】

▼関連リンク
・福岡の幽霊会社 「地方創生・奇跡の町」に波紋
・必要のない公共事業が福岡の幽霊コンサル業者へ
・神山町疑惑の業者選定 委託先候補は「存在しない」幽霊会社
・疑惑の業者選定 「幽霊会社」代表は複数の「生存会社」保有
・疑惑の業者選定 紹介したのは福岡在住のまちづくり専門家

 
  

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