業績不振にあえぐサニックスの救世主に、実兄が名乗りを上げるか
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2017年1月7日、(株)サニックスの前代表取締役社長を務めた宗政伸一氏が67歳で亡くなった。伸一氏は、同社を東証一部上場企業にまで育て上げただけでなく、スポーツ振興や青少年育成などに尽力した経営者として広く知られていた。惜しまれる、早すぎる死と言えるだろう。
現在、伸一氏の長男・宗政寛氏が副社長から代表取締役社長に昇格し、新体制となったサニックス。その業績にはかげりが見えている(資料1サニックス連結決算)。同社は太陽光発電事業へと思い切った事業転換を行い、一時は業績が伸びたものの、同事業の市場環境が急激に変化した影響を受け、近年の業績は低迷。16年3月期は売上高619億円に対し、46億円の当期赤字を計上することとなった。17年3月期も売上高466億円、当期利益6,000万円の赤字予想で、3期連続赤字計上が見込まれている。約900名の希望退職者の募集及び店舗統廃合などにより固定費全般を削減し、収益構造の改善を図っているが、体質改善には時間がかかりそうだ。
このままでは、故・宗政伸一氏が作り上げたサニックス精神は途絶えてしまう。サニックスに救いの手を差し伸べる企業はいないのか。
同業でサニックスにゆかりのある企業がある。東京都新宿区に本社を置く(株)アサンテだ。アサンテの代表取締役社長を務めるのは、故・宗政伸一氏の実兄である宗政誠氏。サニックスと同じく東証一部上場企業で、害虫駆除や耐震補強事業を手がけている。
アサンテは1970年に東京都府中市で三洋消毒社として創業、73年9月に三洋消毒(株)として法人化した。後に本社を新宿区に移転し、94年に現商号に変更している。サニックスは78年9月設立で、アサンテはサニックスより5年先に設立している。兄を追いかけるように、弟も奮起したのであろう。上場時期は逆転しており、サニックスが96年9月、アサンテは2013年3月である。兄弟が両方とも上場企業の社長かつ同業というのは非常に珍しく、家電量販店の(株)ノジマと(株)PCデポコーポレーション(ともに東証一部)の野島兄弟以来のことだ。
アサンテの財務内容は堅く、しかも安定した売上高と利益を残している(資料2 アサンテ単体)。住宅用白アリ防除のトップクラスと言われ、東北、関東から関西まで幅広い販路を持つ。アサンテはJAや生協との提携で業容を拡大してきたが、西日本地区を販路とするサニックスと地域の棲み分けをしていた。いわば会社としても兄弟分といってもよい。
ここでひとつ、提案をしたい。
業績不振にあえぐ弟分・サニックスのためにも、兄貴分・アサンテが今後、主導権を持ちつつもサニックスの支援をするとすれば、素晴らしいことだ。サニックスは住宅用白アリ防除が事業の原点とはいえ、現在は太陽光発電事業に舵を切り、廃プラ処理や売電に加え新電力事業にも進出している。同様にアサンテも太陽光発電事業を手がけているが、規模はそう大きくない。となると、サニックスの住宅用白アリ防除事業を取り込んだうえで、アサンテ主導のもと事業の再編を手がけてみるのもいい。
2月17日の株価終値はサニックス188円、アサンテ1,744円。低落傾向のサニックスに対して、アサンテの株価はやや右肩上がりの状況である。業績低迷にあえぐサニックスを救うため、兄貴分のアサンテとして、また故・伸一氏の実兄として、誠氏が大いなる救いの手を差し伸べることを検討してもよいのではないだろうか。上場企業であるから当然ながら株主の意向もあるだろうが、人情味あふれる英断に期待したい。※クリックで拡大
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