2024年12月26日( 木 )

九州地銀の2017年3月期(第3四半期決算)を検証(9)

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 2017年3月期末まで残り1カ月となった。第3四半期決算の実績から2017年3月期の当期純利益(予想)を検証していくことにしたい。【別表1】を見ていただきたい。

この表からみえるもの

◆九州地銀18行の17年3月期の当期純利益は、1,296億円(▲14.6%)で、前期の1,518億円に対して、▲221億円の減益予想となっている。前期比プラスを予想しているのは福岡銀行、親和銀行、北九州銀行の3行だけで、残り15行は減益となっている。日銀が昨年1月に2%の物価目標を実現するため「マイナス金利政策」を導入したことが、九州地銀18行の収益に大きな影響を与えていることが分かる。

(1)九州県別の順位について
・福岡県に本店がある地方銀行は5行。その5行の17年3月期の当期純利益(予想)の合計は757億8,000万円でそのシェアは58.4%。福岡県だけで九州7県の当期純利益の半分以上を占めている。

・第2位は長崎県で133億3,000万円。第3位は鹿児島県で120億円。第4位は熊本県で87億円。第5位は宮崎県で85億円。第6位は大分県で77億9,000万円。第7位は佐賀県で34億9,000万円となっている。

・熊本県は第2位から第4位に順位を下げている。昨年4月14日から連続して発生した熊本地震が地元経済を直撃したためだ。肥後銀行の当期純利益予想は85億円(前期比▲39.2%)。前期比54億円の減益は九州地銀の中では最大となっている。またふくおかFG傘下の熊本銀行の利益も2億円(前期比▲96.2%)。前期比▲50億円は肥後銀行に次ぐ減益額となっている。熊本地震の影響がいかに大きいかが読み取れる。

・熊本地震の影響を受けた熊本県は別にして、地銀の収益額はその県の経済力を計るバロメーターのひとつといえるだろう。

(2)銀行別の順位について
◆当期純利益予想トップは福岡銀行で459億円(前年比+0.6%)。第3四半期までの累計は308億円(達成率67.2%)であり、残り151億円の予算達成は高いハードルとなりそうだ。第2位の西日本シティ銀行は▲4億円の265億円(前年比▲1.6%)を予想となっている。上位2行にとっては「マイナス金利」の影響は軽微のようだ。

・第3位は鹿児島銀行で103億円(前年比▲12億円)。同じグループの肥後銀行を抜いて、第3位の座が入れ替わる。九州FGの三部門を見ると、預金残高は肥後銀行だが、貸出金残高及び当期純利益の2部門は鹿児島銀行が上回っており、甲斐隆博九州FG会長(兼肥後銀行頭取)と上村基宏九州FG社長(兼鹿児島銀行頭取)にとっては複雑な心境なのかもしれない。

・減益率で見ていくと第1位は熊本銀行(96.2%)、第2位は宮崎太陽銀行(76.6%)。第3位は福岡中央銀行(62.6%)。第4位は佐賀共栄銀行(54.8%)の4行が50%以上の減益となっている。また40%台の減益行は筑邦銀行と豊和銀行の2行。30%台の減益行は肥後銀行1行。20%台は南日本銀行、宮崎銀行、大分銀行の3行。10%台は十八銀行と鹿児島銀行の2行。10%以下は西日本シティ銀行、長崎銀行、佐賀銀行の3行となっている。

まとめ

 この表から見えるのは、九州地銀の収益力は各県の経済力に比例しているのが分かる。その中で第一地銀と第二地銀と収益力の格差が大きいことも読み取れる。

 また銀行別ではふくおかFGを主導する福岡銀行と西日本FHを主導する西日本シティ銀行の収益力の強さが目立つ。九州FGが熊本地震を克服して巻き返しを図ることがきるのか。いずれにせよ、九州地銀の金融再編はこの三グループを中心に進められることになりそうだ。

(了)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

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