2024年11月22日( 金 )

【筑紫女学園】「無効」判決で笠理事長復活?長谷川裕一氏の妄執

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 仏教校の名門・筑紫女学園の理事長の座を射止めたかに見えた、大手仏具販売メーカー(株)はせがわの相談役・長谷川裕一氏。筑紫女学園は、800万人の信者を誇る浄土真宗本願寺派の龍谷学園グループに所属。理事や教職員に仏教関係者がおり、学生にも寺院の子女が少なくはない。学園史に残る名理事長ともなれば、さぞ、家業への貢献につながっただろうが・・・。

「無効」判決当日に笠前理事長の復活を宣言

学校法人事務局がある大学キャンパス

 選任に至るプロセスの問題点を認めた福岡地裁から、理事長としての地位を「無効」とする判決を突き付けられた長谷川氏。意気消沈かと思いきや、判決が出た当日、すかさず教職員あてに自身の所感を発表していた。しかも、その内容には、キャスティングボードを反対派に渡さないようにする仕かけが施されていたのだ。

 記者は、長谷川氏が2月23日付で出した「理事会決議無効確認請求訴訟について」と題した所感文を学校関係者から入手。この文書で長谷川氏は、「新たな理事が選任されるまでの間は、寄附行為第9条4項に基づき、前理事が理事の職務を行うことになり、笠前理事長の下で理事会を開催し」と伝えていた。この一文の内容には疑問符がつく。

 同法人の寄附行為第9条は、1期3年とする役員の任期を定めており、同条4項は、「役員は、その任期満了後でも、後任者が選任されるまでは、なお、その職務を行う」としている。ここでいう「役員」とは、第5条で定められた理事および監事のこと。理事長に引き継ぎ業務が発生するとはどこにも書かれていない。

 前理事長であった笠信暁氏は、登記上、2013年6月12日就任、16年6月10日退任となっており、3期目の任期3年を終えていることは明らか。つまり、長谷川氏の理事長就任が無効となったことで、筑紫女学園は、笠前理事長退任後、“理事長不在の状態”が続いているだけ。理事が集まり、互選によって理事長を選任すればいいのだ。

一貫性のない脱法行為に透けて見える本音

 さらに、「笠前理事長が引き続き職務を行う」との解釈には、過去、笠・長谷川派が行ってきた理事会運営との間に矛盾が生じている。長谷川氏が理事長に就任するまでのプロセスでは、笠氏の理事長退任後、学長が理事長代理として理事を招集して6月21日の理事会を開催した。

同学園の寄附行為第14条は「理事長に事故があるとき、又は理事長が欠けたときに、あらかじめ理事会において定めた順位に従い、理事がその職務を代理し、又はその職務を行う」と定めているが、これは、不測事態に備えたものと解すべきで、任期満了による理事長の交代に適用されるものではない。前理事長の任期中に後任を決めるのが法人運営の常識だ。

 前回は第14条、今回は第9条と、一貫性もなく寄附行為をねじ曲げてきた笠・長谷川派。手段を選ばない大人たちに、次世代の育成を担う資質はあるのだろうか。さらに、長谷川氏の見解には、「理事長が務める理事会議長の権利を手放したくない」という本音が透けて見える。もともと、笠・長谷川派は、昨年6月10日の時点で、理事会内の少数派。それゆえ、裁判所に問題性を認められる強引なやり方で賛否同数の状態をつくり出し、議長を務める理事長・笠氏が1人で2票を投じるという無法行為で反対派理事一掃の改選案を決議した。

 当時、理事会に出席した理事の勢力状況は、笠氏を除いて、笠氏支持派5人、反対派7人(委任状を無効とされた理事を含む)。1人を味方に引き込めば、今度こそ、議長決裁権で決着をつけることができる。もっとも、早期に理事会を開催すべきとの強気の姿勢からは、すでに、その1人を手中に収めていることも十分に考えられる。また、笠氏が引き続きの理事長となれば、年1,600万円といわれる同法人の理事長報酬の支払いや、数千万円といわれる笠氏への退職慰労金(無効とされた新理事会が決議)の行方も気になるところだ。

【山下 康太】

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