時代をひらく女性たち~(株)Branches 権藤光枝代表(後)
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政府が成長戦略の1つに掲げる『女性の活躍促進』。しかし、今もなお女性が社会に出るにはさまざまな課題が山積みなっているのは周知の事実だ。それでも、多くの試練を乗り越え、社会に貢献する女性は大勢いる。信念を持ち、働く女性の姿は輝いている。女性経営者シリーズ「時代をひらく女性たち」では、分野を問わずさまざまな業界で活躍している女性にスポットを当てる。
記念すべき第一回目は、(株)Branchesの代表取締役 権藤光枝社長。(前編はコチラ)「保育」と「看護」をつなげる
――2017年4月からスタートされる訪問看護サービスについて教えてください。
権藤 文字通り、ご自宅に訪問して看護を行うサービスです。看護師の資格を持つスタッフを派遣し、1時間程度、療養生活を快適に送るための看護ケアを行います。その間に、いつも付きっ切りで面倒を見ている保護者の方には気分転換に外に出ていただいたり、家事を済ませてもらったり、短時間ではありますがリフレッシュの時間に使っていただきたいと思っています。
――訪問看護を始めようと思ったきっかけは?
権藤 保育園に、常に携帯用酸素ボンベをつけていないと生活できない児童が入園してきたことがきっかけです。その子はハンデがありながらも、たくさんの友達と保育園で楽しい日々を過ごすことができていました。でも、そのときに生まれつき体が不自由だったり、持病があったりして、保育園に通えない子どもたちはたくさんいるということに気が付いたんです。そして、そういった子どもを育てるために、自分の時間を犠牲にせざるを得ない保護者の方も大勢いる。そのようなご家庭の役に立てることはないかと思い、訪問看護を始めることにしました。
訪問看護サービスでは年齢に制限はありません。訪問「介護」だと、どうしても高齢の方に限られてしまいますが、看護なら赤ちゃんから高齢の方までケアできます。ゆくゆくは「看護」と「保育」をつなげ、子供に特化したサービスにしていきたいとは思っていますが、まずは困っている方たちの幅広いニーズに応えていきたい。
――「看護」と「保育」をつなげるとは?
権藤 小児の訪問看護サービスでは、病気で外に出られない子ども達に「看護」と「保育」を同時に提供したいと思っています。私たちはこれまで保育を専門に取り組んできましたから、今まで培ってきた「保育」のノウハウを「看護」に生かしていきたいですね。
簡単にいえばコミュニケーションの取り方の違いでしょうか。丁寧な看護をすることはもちろんですが、例えば、そこに読み聞かせや手遊びなど保育園で行っている要素を取り入れて、子どもの情操教育に貢献したいと思っています。保育士・看護師の両方の資格を持ったスタッフも在籍しており、体制は万全です。事業がスタートすれば、さまざまな問題が出てくるとは思いますが、そういったものに対する不安よりも新しいことができる楽しみの方が大きいです。
当園は「こどもたちに愛情を、保護者に安心を、社員に働く歓びを」を理念に挙げています。その理念にそった活動を今後も広げていきたいと思います。
――女性が社会で活躍するのは、なにが一番必要だと思いますか?
権藤 社員が子育てしやすい環境を企業が整えることです。たとえば、「保育園にお迎えにいかなければいけない、夕食を作らなくてはいけない」という理由で夜の会議や集まりに参加できない女性はたくさんいると思います。飲み会さえ参加するには、子どもを誰かに預けないといけない。また、求職中だけど日中に子どもを預けられる場がなくて困っているシングルの方も多くいらっしゃいます。
当社ではそういった方のために出張保育のサービスを行っています。企業に出向いて一室をお借りし、そこで簡易保育園を開くのです。すぐ近くに子どもを見てくれる場があれば、安心して会議や説明会に参加できます。
国が体制を整えるのには時間が掛かりますし、保育園をつくるのは大変です。ただ、必要なときに呼ぶことはできるということを企業の皆様にも知っていただき、そういったサービスを活用していただきたいと考えています。
企業が子育てに対して熱心に取り組めば、必ず女性が働きやすい社会が生まれます。――企業が社員とともに「子どもを育てる」という意識が大切なんですね。
権藤 私がこうした事業を続けていく根底には「誰かの役に立ちたい」という強い想いがあります。子どもはもちろん、保護者の方、そして一緒に働いている社員にも充実した人生を送っていってほしいと願ってやみません。働く母親は子どものために自分の人生を犠牲にしがちです。そういった女性を救うために、今後もさまざまな問題に取り組み、また私自身も一人の女性として、母親として、充実した人生を歩んでいきたいと思います。
(了)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:権藤 光枝
所在地:福岡市博多区祇園町2-11
設 立:1996年
資本金:300万円
URL:http://www.branches.co.jp/<プロフィール>
権藤 光枝(ごんどう みつえ)
1973年生まれ、兵庫県出身。シングルマザーとして娘を育てながら、2000年に起業し、24時間保育園「リトルワールド」を開園。2009年に全国商工会議所女性連合会が主催する第8回女性起業家大賞で最優秀賞・日本商工会議所会頭賞を受賞。関連キーワード
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