名門下関ゴルフ倶楽部、理事長不在で崩壊の危機(後)
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経営から手を引いた山口銀行
今まで歴代の山口銀行頭取が理事長に就任していたが、敗訴を受けて福田理事長が退任。さらに山口銀行から出向していた前田昌宏支配人も退任し、4月3日付で前職のやまぎんカードに戻ることになった。秋本和久前支配人(山口銀行出身者)は残るものの、山口銀行の下関ゴルフ倶楽部への影響力はほとんどない不安定な経営状態となった。
後任の支配人には九州リゾートが経営する「九州ゴルフ倶楽部八幡コース」の前支配人だった石川実氏が就任したといわれる。
福田理事長退任後、はたして今まで通り山口銀行が下関ゴルフ俱楽部を社交場として利用するかどうか。むしろ山口銀行頭取だった前、元理事長が有罪判決を受けたことから、利用は減少するのではとの話も出ている。山口銀行から声をかけられ新規会員権を購入した企業や個人にとっても、梯子を外された思いを持っている人も多いのではないだろうか。
支店長変死で進退窮まる
16年12月期の決算では、当期利益は▲8,600万円となっており(損益計算書を参照)、今期さらに赤字が増えるのではないかと懸念する声も聞かれる。
福田理事長(当時)は、11億円のクラブハウス建替を提案したとき、「会員の皆さまには決してご迷惑をかけることはございません」と豪語したが、会員権の販売が思うようにいかず、清水建設へ支払う工事代金を西中国信用金庫から8億円を借入していることがわかった。
その内訳は長期借入金4億5,000万円(貸起日:2016年11月30日 期日:2031年10月28日 毎月250万円の分割弁済)と、短期借入金3億5,000万円となっている(貸借対照表を参照)。清水建設へのクラブハウス建替え代金の支払い期日は11月30日と推測される。
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下関ゴルフ倶楽部のメイン銀行は山口銀行豊浦支店。その豊浦支店長だった浦喜智嗣氏は、昨年7月の三連休の最終日だった海の日の18日、自宅近くにある墓地の前で自らの命を絶ち、53歳の若さで非業の死を遂げた。下関ゴルフ倶楽部への融資が関係したとの見方が有力だ。ニュースサイトNet IB-News記事の『山口銀行豊浦支店長が自殺』、『山口銀行の「支店長」自殺の真相に迫る~死を招いた定款変更(前・後)』などで既報した通り、山口銀行は利益相反行為となることから貸出ができなくなったと見られる。
メイン銀行となった西中国信用金庫の憂鬱
西中国信用金庫の山本徹会長は下関ゴルフ倶楽部の監事であり、そのため融資を引き受けざるを得なかったというのが実態だろう。山口銀行の頭取が理事長であり、支配人が山口銀行の出向行員であることから融資に応じたと見られる。しかし山口銀行が下関ゴルフ倶楽部から撤退したことで、メイン銀行となった西中国信用金庫。融資は無担保・無保証だったため、保全強化のため今は慌てて、(1)担保差入(2)振り込み預金口座を山口銀行から移管することを強く申し出ているとの噂が伝わっている。
そして中部哲二氏が理事長代行のままでいるのは、理事長に就任すれば個人保証を求められるからだという話も聞こえてくる。また、ゴルフ場用地を貸している地権者も山口銀行が手を引いたことを聞きつけ、下関ゴルフ倶楽部の支払いが滞るのではないかと懸念しているとの話だ。
年会費12万円への引き上げなど杜撰なクラブハウスの建替え計画によってもたらされた経営側と会員有志との対立は、会員有志が指摘した通りの結果となったといえよう。
「ゴルフ半額プレイ」の社員代表訴訟は、広島高裁に控訴しており、第1回目の公判は4月24日に予定されている。広島高裁でも判決が覆ることはないと見られており、むしろ福田前理事長、田中元理事長と歴代の山口銀行頭取が下関ゴルフ倶楽部を私物化した責任は重いと、行内においても2人の進退が問題となっているといわれる。
今まさに下関ゴルフ倶楽部は、理事長不在で崩壊の危機に瀕していると言っても過言ではないのではなかろうか。
(了)
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